「シャンドライの恋」私的映画考Vol.8
ラストシーンが重要だなあと思っていることを先日書きましたが、今日は気になるラストシーンの映画をご紹介。「シャンドライの恋」です。監督は「ラストエンペラー」のベルナルド・ベルトルッチ、主演は「M:I-2」のサンディ・ニュートン、「太陽と月に背いて」のデヴィッド・シューリース。
アフリカ人女性のシャンドライ(サンディ・ニュートン)と、ピアニストであるイギリス人男性のキンスキー(デヴィッド・シューリース)はローマで出会う。シャンドライには政治犯として投獄されている夫がいるが留学し、キンスキーの家政婦として住み込みで働いている。一風変わったキンスキーの言動に憤りを感じつつも、次第に文化の違いを受け入れ、そして二人は惹かれ合う。家財道具を次々と売り払い、最後にはピアノまでも・・・。その謎の行動の意味は?!
冒頭の夫が連行されていくシーンは印象的。美しいアフリカの風景と、民族音楽。あまりの恐怖に失禁するシャンドライ。ローマに住むシャンドライはいまだにその悪夢にうなされています。
二人の友情にも似た交流を描きつつ、アフリカでは味わえなかった青春を謳歌しようとするシャンドライも描きます。終盤のコンサートのシーンは悲しくも感動的です。キンスキーはシャンドライを心から愛し、理解しようとする思いがピアノ演奏に込められています。何とも言えない緊張感もあって、迫力があります。キンスキーと夫、二人の男性からの思いに揺れ動くシャンドライの葛藤も。
ラストシーンは余韻があるものの、最後の決断のシーンを見せてくれません。そのシーンは観る者によって違う受け取り方が出来るのではないでしょうか。いつしか愛し合っていた二人なのに、シャンドライの夫が戻ってくる、その時の彼女の行動は?
女性・男性の違い、恋愛経験の違い、価値観の違い。この作品は、音楽も含めて文化の違い、民族の違いをどう乗り越えていくのかを問いかけているように思います。様々な文化、様々な人種の交わる異国の地で、何が大切で何が必要なのか、問いかけているようです。
これが本当の愛なのかもしれない。そう思わせてくれる作品です。映画は観る人それぞれの見方があって良いし、感じ方があって良い、だから、こういうラストシーンがあっても良いのだなと思えます。
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