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2005/06/12

「ミリオンダラーベイビー」私的映画考Vol.13

そもそも映画にはテーマというものがあります。「何が言いたいのか」とか「訴えたいこと」とか様々です。このテーマというのを突き詰めていくと「人間とは何か?」と言うことに行き着くのです。何のために生まれ、どう生き、何のために死ぬのか?きっとそこに答えはなく、永遠の命題となるのです。

今日、映画館で「ミリオンダラーベイビー」を観ていて、あらためてそんなことを思いました。2005年アカデミー主要4部門を受賞した本作は、生きていくことの意味とは?、後悔のない人生とは、そんなテーマのように受け取りました。

主人公のマギー(ヒラリー・スワンク)はウエイトレスをしながらボクサーになることを夢見ています。 マギーは31歳。これからプロボクサーになるのには遅すぎる年齢。名トレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)はそんな彼女の指導をすることを拒みます。フランキーのジムで働くスクラップ(モーガン・フリーマン)は彼女に影ながら指導をし、ついにはフランキーがトレーナーになることを承諾させます。そこから、3人の挑戦が始まります。

この3人のやりとりが軽妙で、ユーモアに溢れ、それでいてボクシングに懸ける情熱を感じます。この作品の凄さは登場人物それぞれの過去が見えること。回想シーンを入れる訳ではなく、流れの中の会話で垣間見られる過去が、人物の深みを醸し出します。

それぞれの人生、それぞれの過去を引きずり集まった3人。皆、後悔の気持ちを持ちながら、生きているのです。フランキーはマギーにそんな想いをさせたくないし、自分の二の舞を踏むようなことにはさせたくありません。そのために、自分の全力を傾けて、指導し続けますが、その時アクシデントが・・・。

ボクシングシーンは臨場感豊かで、スピード感もあり、迫力のあるシーンになっています。それがこの作品の売りなのか、と観る前には思っていましたが、ところがそうではありませんでした。アクシデントのあと、そこからがこの映画の本番なのだと思えました。死ぬことと生きること、どちらも辛いことなのかもしれません。

この作品は、きっと観る人の過去により、受け取り方が様々でしょう。それぞれの人生に生と死の意味があり、様々な結論があるに違いありません。人生には光の部分と影の部分があります。演出でも光と影を見事に活かし、栄光と翳りを描いています。心理描写も見事に描き、奥行きのある本作に、アカデミー賞受賞も納得でした。

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» ミリオンダラー・ベイビー [気ままな自問自答]
アカデミー賞、主要4部門を獲得した作品。 クリント・イーストウッド演じる、ジムのオーナー、フランキー。 モーガンフリーマン演じる、トレーナーのスクラップ。 ヒラリー・スワンク演じる、女性ボクサーのマギー 主要のこの3人が、完璧な演技をする内容の濃い作品。 フランキーに師事されるためにマギーは 素人で貧乏だが、必死に貯めたお金でジムに通い続ける。 フランキーは最初、追い出せとスク�... [続きを読む]

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