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2006/06/22

「なごり雪」私的映画考Vol.40

この映画は、大分県臼杵市のひとびとの郷土愛が生んだ、「臼杵映画」である。大林宣彦監督作品「なごり雪」。出演:三浦友和(「日本殉情伝 おかしなふたり」「マヌケ先生」)、須藤温子、細山田隆人、反田孝幸、ベンガル、長澤まさみ他。

この作品を映画館で観たのが2002年11月。DVDの発売が、2003年9月。買ったのは良いですが観ていなくて、2006年6月になってようやく観ました。4年ぶりに観て、あらためて良い作品だなあと思いました。映画館で観た時よりも意味がよく分かったというか、感動しました。それだけ年をとったのかもしれませんが。

50歳になった祐作(三浦友和)は、28年ぶりに故郷の大分県臼杵(うすき)市に帰ります。待っていたのは、旧友・水田(ベンガル)と変わり果てた姿となった水田の妻・雪子だった。28年前の別れの前の日、水田と雪子、そして祐作には何があったのか。臼杵を舞台に、過ぎし日の青春の思い出を伊勢正三の名曲「なごり雪」に乗せて綴る三人の男女の恋物語。

臼杵の映像はとても美しく、曲がりくねった細い路地、石畳、街並み、木々・・・。すべてが過ぎ去りし青春の日々のように美しい。臼杵市では、昔の景観を損なうことなく、「町守り」運動が行政ぐるみで行われているんだとか。

50歳になった主人公・祐作が、臼杵を訪ねる2001年の映像と、28年前の映像が交互に移り変わる構成になっています。ほとんどが臼杵市でのロケ映像。普通なら昔の街並みをCGやセットで作りますが、臼杵の場合は看板を差し替えるくらいで、ほとんどそのままの映像として使えるというのが素晴らしい。

ラストシーン、駅のホームで水田が号泣します。追憶、邂逅、傷跡、色々な想いが重なっての号泣なのかもしれませんが、なぜ、そこまで泣くのか、受け止め方は人ぞれぞれで良いのだろうと思います。

28年前輝いていた人々に贈るあの頃の日本映画。決して降ることのない雪を待つ少女。50歳の主人公とその友人そして、50歳の伊勢正三。3人の男たち。50歳にして生と死を思う。それが、イルカの「なごり雪」ではなく伊勢正三の「なごり雪」たる所以。青春はそれ自体が儚い夢のよう。そして、生きることは辛いが、一所懸命に生きること。生と死を問う感動作です。

あらためて、大林作品に惚れ直しました。以前観た作品も含めて、これからDVDを集めようかと思いました。それと、大分県臼杵市に行きたい。また行きたい場所が増えた作品でした。

そうそう、まだ、初々しい長澤まさみも出演しています。

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» なごり雪 [いつも映画があった]
少年期の罪と中年期の悔恨を描いて中高年の郷愁をさそう大林映画「なごり雪」。突然妻に去られたことをきっかけに人生の危機的情況に直面し、絶望している中年男が主人公である。大林映画、今回もテーマは過去の贖罪とあくまでもほろ苦い絶望からの再生。... [続きを読む]

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