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2006/11/25

「トゥモロー・ワールド」私的映画考Vol.53

先日、「トゥモロー・ワールド」を観てきました。クライヴ・オーウェン(「キングアーサー」「インサイド・マン」)主演。アルフォンソ・キュアロン監督作品(「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」)。

2027年、ロンドン。子供が生まれなくなった未来世界。主人公のセオ(クライヴ・オーウェン)は反体制組織フィッシュにさらわれる。そこにいたのは、別れた妻・ジュリアン(ジュリアン・ムーア)だった。組織に、ある女性の英国脱出の手引きを頼まれたセオ。同行することになりますが、その女性は妊娠していたのです・・・。18年ぶりにベビーが誕生するのでしょうか?!

排他的で、荒廃した未来観が面白いです。少しだけ進んだ未来なのですが、どこか汚く、醜く、そして怖い。近未来のロンドンですから「ブレードランナー」のようなアジア的なゴミゴミした世界ではないのですが、物資のなさ、崩壊しかかった体制、乱れた政治、密入国者、様々な状況を含んだ映像となっています。

アクションシーンでの長回しが圧巻です。車での逃走シーンも良くできていますが、なんと言ってもクライマックスとしての収容所での長回しは素晴らしいです。セオと一緒にカメラが動くわけですが、ときおりセオの目線にもなり、臨場感、緊張感が押し寄せてきて、観る者がセオと同化したような効果があります。撮影はさぞかし大変だったでしょうが、計算しつくされていて、リアルな映像は必見です。

そして、その後に続く感動的なシーンが良いです。銃を向け合う人々、ただ逃げまどう人々、すべての人々が、新しい命に対して、優しいまなざしを、やさしい言葉(意味が分からないモノもありますが)を向けてくれるのです。人種を越え、すべてを超えて、未来に繋げるモノ。それは新しい生命だったのです。原題は「CHILDREN OF MEN(人類の子供たち)」。このままでは、50年後には滅んでしまうだろう人類に残された、一筋の希望。それはまさに人類すべての子供なのでしょう。

過去に、セオはジュリアンとの子供を亡くしています。そのことが大きく物語に影響を与えています。二人が出逢った頃のセオは反体制へと熱く身を投じていましたが、今では公務員となっていました。しかし、信念だけは忘れていなかった。信念は運命にも逆らい、未来を切り開く力になっていくのでしょう。そして、新しい生命を救うこと、それがセオにとっての魂の救いだったのでしょう。

地には平和を。子どもたちには未来を。そんなメッセージを味わえる作品になっています。SFという言葉はもう当てはまらなくなってきている未来世界。それは、もうそこまで来ているのかもしれません。

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