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2007/02/27

「長い散歩」私的映画考Vol.62

先日、「長い散歩」を観てきました。奥田瑛二監督作品。出演:緒方拳、高岡早紀、松田翔太、杉浦花菜他。第30回2006年モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。

定年まで校長を勤めてきた松太郎(緒方拳)は、妻を亡くしたのを機に、アパートでのひとり暮らしを始めます。そこで、出逢った少女・幸(杉浦花菜)。いつも背中に天使の羽根をつけています。隣室に住む少女は母親と、その愛人と暮らしているようでした。しかし、5歳の少女は幼稚園にも行かず、虐待のあとは堪えませんでした。

そして、ある事件をきっかけにして、松太郎と少女は長い散歩に出るのでした。「一緒に青空を見に行こう」と。二人は目的の地にたどり着けるのでしょうか。

冒頭から全編を通して、人物を中心においてのルーズな画面の映像が多く、孤独感を見事に表現しています。それと、子供が親にすがりつき、しがみつくようなシーンあるいは虐待を受けるシーンで、大人の表情を見せないという演出も少し恐ろしく映り、興味深いです。

厳格な人間・父親であろうとした松太郎は、それ故に家族にも厳しく当たり、家庭の輪を上手く築けなかったことが、妻が亡くなった今でも後悔として残っていました。詳しい説明はあまりありませんが、フラッシュバックする映像から図り知ることができます。

悔恨、取り返しの付かない今までの生き方・・・。それを洗い流すかのように、二人の道行きは続きます。この旅は、魂の巡礼なのでしょう。「あの子は地獄にいたんだ」という松太郎の台詞が印象的。そこから救い出してやること、愛情を与えてやること、優しくしてあげること、は罪なのでしょうか?

そして、誰もが行き詰まっているのです。どこへ向かえばいいのか、何をすればいいのか、救われるのか?誰もが道に迷い彷徨っているのです。旅の途中で出逢った青年・ワタル(松田翔太)もまた悩み苦しんでいました。三人の道行きになり、次第に笑顔を取り戻した少女・幸。それでも、別れの時は突然やってきます。

泣き所は人ぞれぞれあるのでしょうが、私が一番グッと来たのは、松太郎と幸が一つの布団で抱き合って眠るシーン。抑えきれない感情が溢れだすような松太郎の表情が良いです。

本当の愛情とは、本当の優しさとは、いったいなんなのでしょう。自分を見つめ直す旅にでるのも良いことかもしれません。自分を探す長い散歩=人生には、時には必要なことなのでしょう。人生は辛く厳しく長い、だからこそ、愛や優しさが欲しくなるのかもしれません。そんな気持ちに浸れる感動作です。

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