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2007/02/11

「あした」私的映画考Vol.58

今日は大林宣彦監督作品「あした」をご紹介。新・尾道三部作の第二作(「ふたり」「あの、夏の日」)。原作:赤川次郎「午前0時の忘れもの」。出演:高橋かおり、峰岸徹、宝生舞、原田知世、ベンガル、岸部一徳、植木等他。

ひとは、約束する。
出逢うために、
共に生きるために。
そして、ときには、
「さいようなら」を言うために・・・

冒頭にこのメッセージが現れます。この短いメッセージが本作を見事に表しています。

3ヶ月前に遭難した小型客船、呼子丸。乗客は一人を残して行方不明になっていた。そんなある日、乗客から家族や恋人のもとへメッセージが届く、「今夜12時に呼子浜へ来て」と。半信半疑のまま、それぞれの想いを胸に抱きつつ集まり始める人々。

そして12時。奇跡が起きた。遭難したはずの呼子丸が現れた。そして乗客が次々と現れた。感動の対面を果たす人々。運命は変えることはできないのか。それとも・・・。

新・尾道三部作とは言え舞台はほとんどが呼子浜です。運命に導かれ、呼子浜港の船着場へと続々と集まる人々。妻と娘を失った者、恋人を失った者、内輪もめ中のヤクザの組員たち、勘違いで来てしまった者、ひょんな事からその場に居合わせた女子大生等々。

約束。そのために人々は集まってくる。逢うために、そして、再びの別れのために。親子であったり、夫婦であったり、恋人であったり、親分子分であったり、それぞれの立場で、それぞれの想いがある。それらが、見ている者のそれぞれの体験、境遇によって、共感できるシーン、人物が違うかもしれない。それがまた本作の幅を広げているのでしょう。

生と死、が大きなテーマとなっています。死者には「あした」がないのです。だからこそ繰りかえされ続ける「あした」を懸命に生きる。それが生者に課せられた義務なのかもしれません。

生きることは辛いことでもあります。痛みも、悲しみも、喜びも、なにもかもを受け入れながら。限りある時間を、約束の時間を、充実した時間を、生きる。それが、人生なのですから。そして、自分が愛していた人を、少しでも思い出すことも忘れずに。それが生きることなのでしょう。

愛していれば、きっと こんなことも起こるだろう・・・。奇跡の一夜を、夢のような一夜を過ごしてください。

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この映画も韓流に押されて近所のビデオ屋からなくなった作品の一つです。 本当に腹ただしい! ネット配信で観ました。 小型客船・呼子丸が嵐のなか尾道沖で遭難し、 乗客9名全員の絶望が伝えられてから三ケ月。 残された恋人、夫、妻、家族のもとに、 「今夜午前0時、呼子... [続きを読む]

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