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2007/02/21

「さびしんぼう」私的映画考Vol.61

今日は、大林宣彦監督作品「さびしんぼう」をご紹介します。尾道三部作の第3作(「転校生」「時をかける少女」)。出演:富田靖子、尾見としのり、藤田弓子、小林稔侍他。原作:山中恒(「なんだかへんて子」)。

ヒロキ(尾見としのり)は高校二年生。お寺のひとり息子。父親は寡黙、母親はガミガミといつもうるさい。しかし穏やかに、楽しく、高校生活を謳歌していた。そんなある日、不思議な少女が現れる。「さびしんぼう(富田靖子)」だ。顔は舞台のメイクのように白塗り、なんとも奇妙な姿だ。突然現れ、突然消えてしまう。その姿は、どこか、ヒロキの片想いの相手に似ていた。

人は恋をすると誰もが寂しい。だから恋しい人を「さびしんぼう」という。ヒロキと父親(小林稔侍)が一緒に狭い湯船に浸かるシーンがありますが、ここが実に良いです。普段は寡黙で何を考えているのか分からないような父親が、このシーンだけは饒舌に息子へと語ります。「恋をしろ」と。「その人の悲しみも喜びもひっくるめて」と。

息子はいつも母親の面影を追っている。さびしんぼうは、少年時代の過ぎし日の幻影なのでしょうか?セピア色に色褪せていく思い出も、だからこそ美しいのかもしれません。

全編を流れるショパンの「別れの曲」。音楽が重要な役割を担っている作品が多い大林作品ですが、本作はまさにその通り。別れの曲が至るところで流れます。センチメンタルな感じがとても心地よい。昔からこの曲が好きだったのか、この作品を観て好きになったのか、覚えていませんが、心に残る美しい旋律です。

そして、別れのシーン。さびしんぼうは水に濡れると死んでしまう。それなのに、雨の中、ヒロキの帰りを待っていたのでした。明日が誕生日で、明日になると消えてしまうと言うさびしんぼう。最後にもう一度別れを言いたかった。ただそれだけ、ではないはず。たくさんの想いがこもっている良いシーンです。

ひとがひとを恋うるとき、ひとは誰でもさびしんぼうになる。この一文にすべてが込められています。何度見ても良い作品というのは、本当に良い。大林作品の中でもオススメ中のオススメ作品です。あらためて見直して、またまた尾道へ行きたくなりました。

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