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2007/03/25

大林宣彦「ぼくの青春映画物語」

ぼくの青春映画物語 集英社新書

今日は、大林宣彦著「ぼくの青春映画物語-穏やかな一日を創造するために」をご紹介します。

ここ数ヶ月、大林宣彦監督作品をDVDで何本も観ています。映画は映画でとても良いのですが、大林監督の著書もなかなか興味深いです。本書は大林監督の映画に対する想いや、映画作りに対するこだわりが書かれている前半と、生い立ちから映画との出会い、目覚め、上京、そして映画制作へという半生記の後半に分かれています。

「スターウォーズ(エピソード4)」はなぜ成功したのか、そして「エピソード1」はなぜ冷たく感じるのか?に始まって、日本映画界の重鎮・黒澤明監督や映画解説でおなじみの淀川長治氏とエピソードを交えて、映画とはどうあるべきか?著者なりの熱い想いが書かれています。

中でも印象的なのは、黒澤監督がおっしゃったという言葉「賢い、誇るべき知性を持った人間が、幸福を願っているのに、何だかいつも不幸な方向へと自ら不幸を作りながら進んでいく」。人間の愚かさを語っているのでしょうが、それが映画の世界にもあると言っているのでしょう。

映画作りの下りは秀逸です。少女の成長を描く作品が多い大林組だからこそ、特殊なのかもしれませんが、俳優たちは撮影の予定がなくてもロケ地に暮らし、家族として生活します。そして、少女たちは人間としての美しさや賢さを学ぶのです。「ふたり」の撮影風景を交えて書いてあります。あるモノをあるべき姿で、ありのままを撮る。そんな撮影方法なんですね。

「OK」を出すと言うことはどれだけの責任と覚悟を持って出すのか。それは監督にとっても覚悟のいることで、基準はあってしかるべき。様々な想いを持って映画作りにあたっているんですね。人生には「テスト」はない。だからいつも「本番」なんですね。

後半の半生記はこれまた興味深いです。当然、尾道での少年時代の話しから始まります。どのような家庭で育ち、どのようにして映画と係わってきたのかを垣間見ることができます。大林作品も数多く登場しますので、観てから読むとなお面白さが増します。特に尾道三部作の番外編「マヌケ先生」がオススメです。

高度経済成長期に失われてしまったモノ。それは人間の賢さ、美しさ。でも、それは後世に語り継がなければならない。古き良き時代の先人の知恵を明日へ繋ぐために何をしたらいいのか、何をしなければならないのか、そんな想いを味わえます。そして、何よりも、映画作りに対する熱い想いが行間から伝わってきます。

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