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2007/04/15

「弓」私的映画考Vol.73

今日、ご紹介するのは「弓」です。キム・ギドク監督作品(「サマリア」「うつせみ」)。出演:ハン・ヨルム(「サマリア」)、チョン・ソンファン、ソ・ジソク他。

広い海。周りには何も見えない。その海に浮かぶ1隻の漁船、寄り添うように揺れるボート。そこは老人(チョン・ソンファン)と少女(ハン・ヨルム)、2人だけの世界だった。老人は10年前に少女を連れてきていた。少女が17歳を迎えたその日に、2人は結婚するはずだった。

しかし、少女がまもなく17歳になろうとしていたある日、老人の営む釣り船に青年(ソ・ジソク)がやってくる。少女は一目で恋に落ち、青年も少女の無垢ながらも妖しげな微笑みに心を奪われてしまう。海の上、少女と老人、2人だけの世界が次第に揺らいでいく・・・。

釣り客が少女にちょっかいを出すと、老人は恐ろしい顔で、客に向かって弓を射ます。少女に対する愛情表現なのでしょうが、度が過ぎると言う感じです。とは言えリピーター客がいるようですから、それなりに良い釣り船なのでしょう。

老人は釣り客に頼まれてときおり占いをします。弓占い。少女を船の脇に吊したブランコをこがせ、離れたボートから弓を射るのです。少女に向かって弓を射るわけですから、危険極まりないのですが、少女と老人の信頼関係を表現しているのでしょう。そして、これが後々の伏線となっていきます。

時間があると老人は胡弓のような楽器・韓国二胡ヘグムを奏でます。これもまた少女に対する愛情表現なのでしょう。美しくも悲しい旋律が、二人の行く末を暗示しているかのようです。

全編、船上だけという密室劇(空間は広いんですが)になっています。おまけに、少女と老人はうめき声や笑い声のみで台詞がありません。それだけに、喜怒哀楽を表現する表情は重要になってきます。なので、見ている方は、何を考えているのか、何を思った表情なのかを想像力をフルに働かせて観ることになります。

老人が少女を何度も叩くシーンがあります。何度も何度も。このシーン以外でも老人は何を思っているのか。悲しみ、怒り、もどかしさ。きっと熱い想いがあるに違いありませんが、頑なな老人は何も言いません。青年と少女に対しての抗議なのか、痛烈なまでの愛なのか。そして、老人の最後にとった行動には凄まじいモノがあります。

これは本当に愛なのか、それとも憐れみなのか。愛だとするなら、それはとても辛く、とても悲しい、強烈な愛のカタチなのでしょう。

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