筒井康隆「七瀬ふたたび」
時々、無性にSF小説が読みたくなるときがあります。中学生のころ、SF小説をわりと読んでいました。そのなごりなのかもしれません。表題の「七瀬ふたたび」も中学時代に読んだような気がしますが、あまり覚えていません。
最近では、昔読んだ本や読みかけた本を、大人になって読み返すこともありますし、まったく読んだことのない小説を読むこともあります。
今回、読んだのは、「家族八景 」「七瀬ふたたび 」「エディプスの恋人 」という七瀬シリーズ三部作。
第1作「家族八景」。精神感応能力(テレパシー)を持つ七瀬。少女時代から、精神感能力を持っていた七瀬はそのことをひた隠しにしていました。高校を卒業してお手伝いとして働く七瀬。なるべく多くの人と接触をしないために、家庭に入り働くことのできる家政婦をしています。
そこで描かれるのは人間の業と欲。七瀬は精神感応能力を使って、相手の思っていることが分かりますから、お手伝いさんとしてはかなり有能です。言われる前に動く事ができますから、それは便利な能力です。しかし、怖いのは人間です。時には七瀬に危害が及ぶこともありますが、なにより怖いのは家人が思っていることです。一見仲の良い夫婦や家族ですが、心の中では恐ろしいことを考えているんですね。あー、怖い怖い。
そして、2作目の「七瀬ふたたび」。こちらでは、家政婦の仕事を辞めて、旅にでたところで、他の能力者たちと出会っていきます。透視能力、念動力、時間移動と様々な能力者たちが登場。しかし、謎の組織に命を狙われはじめ、ひとり、またひとりと命を落としていきます。
この2作目「七瀬ふたたび(1979年放送・全13回)」を子供の頃に、NHK少年ドラマシリーズで見たのです。確か夏休みだったと思うのですが、一日30分で週5回放送していたような気がします。断片的にしか覚えていないのですが、毎日ワクワクしながら見ていたのを覚えています。七瀬役を多岐川裕美が演じていたのがとても印象的で、今回、小説を読んでいく上でも、映像として多岐川裕美を思い浮かべて読んでいました。
第3作の「エディプスの恋人」。高校の教務課で働く七瀬。ある日、野球部の練習中、少年の上でボールが破裂するという事態に遭遇します。近くに超能力者がいるのでは?と思い、調べていく内にとんでもない事実に突き当たります。全知全能の神ともいえる存在”意志”を感じるのでした。
1作目では家庭、2作目では国・組織、3作目ではついに神ともいえる存在を描きます。日常に存在するSF的要素から次第にスケールアップして全宇宙までも取り込む内容になっています。
続けて三部作を一気に読んだので、ドンドンと面白さが増していきました。超能力は良いことに使えば良いのかもしれませんが、悪いことに使うこともカンタンな事。しかし、そんな事はどうでも良くなってしまうような精神の旅・宇宙の深淵へと旅にでる七瀬。彼女にとっての幸せな日々は訪れるのでしょうか。
サスペンスやミステリーも良いのですが、より想像力をめぐらせるSF小説も面白いモノです。これからも時々読んでみたいと思っています。
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