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2007/05/27

「SADA 戯作・阿部定の生涯」私的映画考Vol.84

今日、ご紹介するのは大林宣彦監督作品「SADA 戯作・阿部定の生涯」です。出演:黒木瞳、椎名桔平、片岡鶴太郎、嶋田久作、ベンガル、小林桂樹他。

定は雨が嫌いだった。子供の頃からずっと。14歳の時のある事件が発生。その後、定(黒木瞳)を慰めたのは医学生の岡田(椎名桔平)だった。だが、岡田は突然姿を消す。医療ナイフを残して。そして芸者から売春婦になった定は、各地を転々とする。やがて、料亭「きく本」で働き出す。そしてそこの主人・龍蔵(片岡鶴太郎)と深い仲になっていくが・・・。実在の人物・阿部定の生涯を描く問題作。

全編を通して赤い色が強烈なイメージとして残ります。「阿部定事件」を題材にしているだけに残酷なシーンがあるかと思いきや、まったくそんなシーンはなく、しかし、赤い色が鮮明に脳裏に焼き付き、想像するにおぞましい真実を描きます。モノクロとカラーがときおり移り変わり、それがまた赤い色を鮮明に際だたせます。

それと同時に定の不安定な感情もきめ細やかに描きだします。孤独が何より嫌いだったのでしょう。そして壊れていく精神。心の拠り所だった龍蔵との日々。それがいつか終わってしまう予感。

ふたりで飼っていた文鳥が死んでしまい、葬式をするシーンが印象的でした。そこでの龍蔵の台詞。「”もしも”がないのが人生。生きるってのは、”もしも”を諦めていくことだ」と。未来のないふたり。過去は振り返りたくない。それでも、”もしも”は語ってほしくないのでしょう。そんな、現実味のない話しは未来のないふたりには必要がないのでしょう。

14歳から30歳代までの阿部定を演じるのは黒木瞳。愛らしい表情から、大人の色香漂う成長した定までを演じます。それが、とにかく美しい。

大林作品におなじみの俳優陣があいかわらず登場しまくります。暗くなりがちなストーリーの中で、コミカルなシーンを織り交ぜながら、しっかりと心情を描き、ココロに染みいる作品となっています。

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