« 「LOST」を観た! Vol.6 | トップページ | PSP「ギレンの野望 ジオンの系譜」その44 »

2007/05/21

「野ゆき山ゆき海べゆき」私的映画考Vol.83

今日、ご紹介するのは大林宣彦監督作品「野ゆき山ゆき海べゆき」です。出演:鷲尾いさ子、林泰文、佐藤浩市、竹内力、尾美としのり、三浦友和他。

戦争の暗い影が押し寄せている時代。瀬戸内のとある城下町。大人も子供もわんぱくだった。その町に転校してきた大杉少年。そしてその姉・お昌。彼女をめぐって総太郎と大杉は意識し合い争いを続け、ついにはわんぱく戦争までもが勃発。しかし、お昌は父親の借金の形に遊郭に売られてしまう事に。そんな時少年たちは立ち上がった。争っている場合ではないのだ。

とにかく子どもたちはわんぱくです。観ながら少年時代のことを思い出します。あんな事をして遊んだとか、近所を走り回っていたこととか。しかし、劇中では喧嘩も盛大です。殴り合いはまだ序の口、石をぶつけ合うのはいけません。

そして少年たちの憧れの的お昌役を演じるのが本作が第1回主演作品となる鷲尾いさ子。まだまだあどけない表情をしていますが、ときおりドキッとするほど美しい。特にラスト近くの炎の中のお昌は悲しいまでに美しい表情を見せます。

他にも、美しいシーンがあります。お昌と愛し合う男性との別れのシーン。駆け落ちしようと夜の船で待ち合わせをしますが、男は「行けなくなった」と告げます。花火がチラチラと画面の上から降ります。戦争の影がここにも忍び寄っているのでした。

ロケ地はやはり尾道市が中心。時代背景が戦争中と言うこともあり、古めかしい街並みに風情があってこれまた良い感じになっています。劇場公開時はモノクロ作品でしたが、DVDは「実質黒白オリジナル版」と「豪華総天然色普及版」の2枚組になっています。

公開時に劇場で観に行きましたが、今回、カラー版を鑑賞しまして、忘れたのもありますが、まったく違う印象の作品になっています。特にラスト近くの衝撃的なシーンで、画面がカラーからモノクロに変わるという効果は絶大です。夢から覚めてもまだ夢の中のような感覚、夢のつづきが味わえます。

少年たちは大人になろうとしていた。大人や社会の矛盾を感じつつも、時代がそれをゆるそうとしなかった。わずかな抵抗かもしれなかったが、それでもわんぱくはやめられない。それが子供だから。懐かしくも悲しい恋模様と、ほのかな初恋を描く叙事詩的作品です。

« 「LOST」を観た! Vol.6 | トップページ | PSP「ギレンの野望 ジオンの系譜」その44 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

私的映画考」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/102027/15138756

この記事へのトラックバック一覧です: 「野ゆき山ゆき海べゆき」私的映画考Vol.83:

« 「LOST」を観た! Vol.6 | トップページ | PSP「ギレンの野望 ジオンの系譜」その44 »

2015年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ