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2007/08/25

荻原浩「噂」

今日、ご紹介するのは、荻原浩の「 」です。書店で文庫本を眺めていて、なんか面白そうだなあと思って手に取って読んだ一冊。

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。不特定多数の女子高生の噂話で始まります。映像にするなら顔を映さずにカメラが忙しく揺れるような画面。雑踏。暑い日差し。そんなイメージです。

香水の新ブランド・ミリエルを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生をスカウトし、口コミを利用して、噂を広めるのが広告代理店の狙いだった。噂は都市伝説化し、香水は大ヒット。しかし、噂は現実となり、足首のない少女の遺体が次々に発見された。

捜査に乗り出しのは目黒署と警視庁捜査一課。目黒署の刑事・小暮巡査部長が主人公として、物語を牽引します。元警視庁の刑事だった小暮は妻を亡くし、高校生の娘とふたり暮らし。そして、小暮の相棒として登場するのが、警視庁の名島刑事。30歳そこそこで警部補となった女刑事。年も階級も逆転したこの2人の捜査が始まります。

このコンビが絶妙です。捜査の本流とは違って、別の視点から真相に迫ります。2人目の被害者にストーカー行為をしていた美容師が捜査線上に浮かび上がりますが、何かが違う。名島の経験から来る女性らしい捜査をしていきます。

娘とあまり上手くいっていない小暮。渋谷にたむろする女子高生と接していく内に、今まで知らなかった世界を知ります。独特の嗜好、思考、言葉遣い等々。見るモノ聞くモノ何もかもが分からない。その結果、娘のことを少しずつ理解できるようになります。この辺はユーモラスに描かれています。

読み進める内に、冒頭、女子高生の噂に始まり、広告代理店での意図的に噂を広めたという説明へと続きますが、この構成は、なぜなんだろう、なぜこんなに早くばらすのだろうと思っていました。が、最後まで読んだ時に、これは、最後の一行のためであったのかと思えました。

伏線はいたるところに張りめぐらされ、最後の最後までどんでん返しが続く、そして、驚愕の事実。はっきりとは書かれていないために、後から徐々に怖さがやってきます。

昨今、どうして、本作のような猟奇的な殺人事件が起こるのだろうか。本作の中では「頭じゃなくて、心の問題だ。」と語っています。本来はあるべき越えてはいけない心の壁があるはずなのに、その壁が壊れつつあるんだと。それは、モラルだったり、感情だったり、動物的な本能だったり。

インターネットや電子メールをはじめとして情報が溢れかえっている現代。どの情報を選択するのか、どれが正しいのか、その中で生きるためには、しっかりとした心・モラルがなければいけないのでしょう。

本作は本格的なサスペンス・ミステリーですが、ミステリーだけではなく様々なジャンルの小説を書いている作者。これからも、続けて読んでみようと思います。

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