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2007/08/05

「愛されるために、ここにいる」私的映画考Vol.94

今日、ご紹介するのは「愛されるために,ここにいる 」です。ステファヌ・ブリゼ監督作品。 出演:パトリック・シェネ、アンヌ・コンシニ、ジョルジュ・ウィルソン、リオネル・アベランスキ他。

仕事においても、家族との関係においても行き詰まり、人生に疲れ果てたジャン=クロード(パトリック・シェネ)。50歳を超えた今も、別れた妻との間の息子を自らの事務所に入れたものの関係は上手くいかない。高齢の父とは週一回の面会に行くが、こちらもぎこちない。

そして、結婚を目前にして幸せのはずなのに、婚約者に対してどこか満たされないフランソワーズ(アンヌ・コンシニ)。ジャン=クロードは運動不足を医者から指摘され、かねてから気になっていた、タンゴ教室へ。そこで、ふたりは出逢った。そこからそれぞれの人生が交差しはじめる・・・。

父親の仕事は継いだものの、漠然とした人生をおくっていたジャン=クロード。いつも孤独感を味わっていました。体力が落ちてきているのも否めません。そんな日常に、迎えのビルから聞こえてくるタンゴのメロディ。自然に身体が動きます。

今まで、やりたいことがあったのかもしれませんが、父親の期待に応えるためなのでしょう、自分のための事は何一つしたことがなかったのかもしれません。少年時代にはテニスで何回も優勝した過去があるのですが、それも遠い昔のこと。

そんな時、タンゴ教室の扉を叩く、ジャン=クロード。そして、昔の知り合いだというフランソワーズと一緒になります。週に一度のタンゴ教室。美しく成長したフランソワーズ。次第にふたりは意識し始めます。

フランソワーズは、婚約者と共にタンゴ教室に通うつもりでしたが、いつも何かと理由を付けて婚約者は断り続けています。そんな婚約者にもどかしさを感じ、このまま結婚していいのか、迷い始めます。そして、タンゴ教室で出会ったふたりは惹かれ合うようになります。

台詞は淡々と続く日常を描く際は多く用いられますが、ふたりの想いが交錯するシーンには少なめで、心理描写を感情表現豊かに描きます。人生には辛いことも多い、でも素晴らしいことも時に起こるんですね。愛は突然、訪れます。

「人生を棒に振るのはやめろ」と息子に言い放つジャン=クロードの台詞が印象的。父子の関係はぎごちなく、そしてやるせないのですが、気持ちは伝わってきます。言葉数は少ないですが、やりたいこと、正しいと思ったことは自分を信じてやるべきだと教え諭しているように思えます。

自分の場所は正しいのか、一緒にいる相手や場所は正しいのか悩み始めるふたり。しかし、それぞれの事情があります。そこが実にせつないです。ひとつの出会いを通して失われた情熱を再度見出そうとする姿を、繊細かつ情感に溢れる独特のタッチで描き出します。

ラストシーンまでの数分間、まったく台詞がありません。表情と音楽だけで語りかけてくれます。結局どうなったのかは、はっきりとは描かれませんが、きっと何かが変わって、新しい人生が開けたに違いありません。余韻のある素敵なラストシーンです。「Shall we Dance?」的作品ではありますが、本作はダンスはメインではなく、物語のきっかけとなっています。そこはかとない感動を味わえる作品です。

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