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2007/09/19

「ママの遺したラヴソング」私的映画考Vol.102

今日、ご紹介するのは「ママの遺したラブソング 」です。シェイ二ー・ゲイベル監督作品。出演 :スカーレット・ヨハンソン(「プレステージ」「マッチポイント」)、ジョン・トラボルタ(「フェイス/オフ」「ヘアスプレー」)、デボラ・カーラ・アンガー他。

フロリダで学校へも行かず、怠惰な生活を送るパーシー(スカーレット・ヨハンソン)。そこに、長年会っていなかった母の訃報が届く。慌ててニューオーリンズに戻ってはみたものの、葬儀は終わっていた。生家に帰ったパーシーを待っていたのは、見知らぬ二人の男だった。元文学部教授のボビー・ロング(ジョン・トラボルタ)と彼を慕う作家志望の青年ローソン(デボラ・カーラ・アンガー)。古ぼけた一軒家で、嫌々ながらの三人の奇妙な同居生活が始まるが・・・。

家が変わっていきます。最初は小汚いゴミための様な家だったのに、パーシーが住むようになってドンドンと変わっていきます。最初のモノトーンから暖色系の彩りが増え、暖かみをおびていくのです。そして、最初は知らない男たちとの共同生活が嫌で仕方がありませんでしたが、高校にも通うようになり新しい生活が始まり、次第に順応していきます。

その新しい生活に協力的なボビーとローソン。母の遺言で家の権利は一年間は三人のものとされていたからでした。そのことはパーシーには内緒でした。彼女が自立して家を出て行けば、家はまた二人のモノになるから二人は高校へ通う事に協力的なのでした。

母親の住んでいた街に来たパーシーは、自分はよく知らない”母親”を知る人たちの言葉を聞きます。どんな人だったのか、どんな歌を歌っていたのか。思い出話を聞きます。そして、文学との出会い、初恋・・・。それは恋だったのでしょう。時が過ぎていく内に、ささくれだっていたパーシーの心は、少しづつ癒されていきます。そして、ある日、母が自分に宛てた一通の手紙と楽譜を発見するのでした。そこには・・・。

三人で雨の降る晩に玄関先の椅子に座って、タバコを吸うシーンが好きです。パーシーが言う言葉に対して、「僕も」とローソン、続いてボビーが「俺も」と、その繰り返し。穏やかな幸福なときが流れていく感じがとても良いです。

今までの二人は、孤独を抱え、過去への後悔に苛まれながら、傷をなめ合うように生きていたのです。その家が唯一の拠り所だったのでしょう。そこに、現れた少女。過去から抜け出すために、少しずつですが、前進しようとします。わずかなきっかけですが、終わりだと思っていた人生に、一筋の光明を見たのかもしれません。

「幸福とは長さの不足を高さであがなうもの」という台詞があります。ボビーは孤独を恐れていました。でも、こんなにも素敵な仲間がいた。家族とも言える同居人がいた。幸せに気付いていなかっただけだったのかもしれません。長い人生の旅は続きます。しかし、やっと辿り着いたと思ったところは出発点に過ぎないのです。そして、そこが自分の居場所であり、そこが幸せのありかだと気付くのです。

三人の奇妙な同居生活を通して、幸福とは、人生とは、を問いつつ、爽やかな愛を描く感動作。オススメの一本です。

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