« 「エディット・ピアフ 愛の賛歌」鑑賞 | トップページ | 「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」鑑賞 »

2007/10/04

「ブラインドサイト 小さな登山者たち」私的映画考Vol.104

先日、「ブラインドサイト 小さな登山者たち」を観てきました。ルーシー・ウォーカー監督作品。出演:チベット盲学校の子どもたち、サブリエ・テンバーケン、エリック・ヴァイエンマイヤー他。

世界的に有名な盲目の登山家エリック・ヴァイエンマイヤーは、盲人で初めてエベレスト登頂に成功した。そして、チベットのラサで盲人学校を設立した盲目のドイツ人教育家サブリエ・テンバーケン。手紙のやりとりから、盲人学校の6人の少年少女たちを連れ、ヒマラヤ登山に挑むことになった。それぞれの過去を背負った6人の子どもたち。それでも、自分の可能性を信じて参加した。登山に挑戦し、苦難を乗り越える姿をとらえたドキュメンタリー作品。

世界の多くの地域では、いまだに障害者に対する偏見は強いのです。特にチベットでは、目が見えないと言うことは、ことさらに厳しく偏見が強いのです。犯罪者とみなされるんだとか。そんな負い目を持ちながら、また「役立たず」「お荷物」的に扱われています。そんな偏見の強いチベットに盲学校を設立したサブリエ。彼女自身も盲目でした。

そんな盲学校に通う子どもたちが、エベレスト登頂に成功しているエリックとのやりとりの中から、登山に挑戦することとなります。安全を確保するべく万全のスタッフが同行するのです、保護者の承認を得なければいけません。この模様もつぶさに描かれています。

そんなところに行く必要はないと言う者、楽しんでこいと言う者、反応は様々。中でも実は中国人だという少年の両親の元へサブリエらが同行した時。辛い現実が見え隠れします。自分の過去を語りたがらない少年。トラウマなのか、辛い過去を話したくないのでしょう。話すことによって、学校にいられなくなるように思ってしまうのでしょう。

「盲目で登山をすると言うことは暗闇に手を伸ばす感覚だ」と言う台詞が印象的です。二本の杖を目の代わりにして険しい山道を進みます。右か左か、どちらが崖か分からない状況。一歩間違えば大惨事です。登っていく内に、次第に山道は険しさを増し、足下には大きな岩が転がります。転べば鋭利な岩で傷を負いかねません。そんな場所を進むのです。それがどんなに勇気のいることか。

そして、高度が増すにつれ空気は薄くなり、。高山病が現れ始めます。あと数百mと言うところまで辿り着いた時、最後の決断を迫られることになりますが・・・。

エリックをはじめとして登山家たちは「登頂」そのものに目標を置きます。しかし、サブリエたち盲学校の教育者たちは「過程」を大事にし、ここまで来たという「連帯」を大事にします。登頂した先に何があるのか?景色は何も見えないのに。しかし、そんなことは問題ではないのです。価値観は違っても、皆が助け合い、心を許しあい、信頼を築いた。そして、ここまで来た。きっとこれからの厳しい人生に何か役に立つこと、精神的に強くなることはできたに違いありません。

ドキュメンタリー映画ではありますが、ノンフィクションのようなストーリー性を感じられます。しかし、これは彼らにとっては、あらがえない現実なのです。それでも、きっと何でもできるはず。できないことを考えるよりも、どうしたらできるのかを考える。そんな、当たり前のようでできないことに気付かせてくれる作品です。小さな登山者たちの健気な言動に熱いものがこみ上げてきます。

« 「エディット・ピアフ 愛の賛歌」鑑賞 | トップページ | 「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」鑑賞 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

私的映画考」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/102027/16637168

この記事へのトラックバック一覧です: 「ブラインドサイト 小さな登山者たち」私的映画考Vol.104:

« 「エディット・ピアフ 愛の賛歌」鑑賞 | トップページ | 「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」鑑賞 »

2015年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ