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2008/01/04

「うつせみ」私的映画考Vol.117

先日、DVDで「うつせみ 」を観ました。キム・ギドク監督作品(「サマリア」「」「絶対の愛」)。出演:イ・スンヨン、ジェヒ、クォン・ヒョゴ、チュ・ジンモ他。

寡黙な青年テソク(ジェヒ)は、バイクを走らせながら家々を歩きチラシを貼って歩いていた。留守宅を探しているのだ。人気のない家に侵入し、留守電をチェック、そして歯を磨き、シャワーを浴び、冷蔵庫にあるもので料理をし、テレビを見て寛ぐ。その代わりなのか、掃除、洗濯をし、記念撮影をし、何も盗らずに家を後にする。

ある日テソクは、とある豪邸に忍び込む。留守と思っていたその家には、独占欲の強い夫に暴力を受けた孤独な人妻ソナ(イ・スンヨン)が息をひそめていた。抜け殻のように生きるソナ。そして、ふたりの秘密の旅が始まった。言葉を交わすことなく孤独な魂がそっと寄り添っていく。

ふたりにはほとんど台詞が無く、無言のまま物語は展開します。しかし、キモチが通じ合うふたり。そこには何があるのか?それは愛なのか?観ている方も台詞が無くても、感情が伝わってきますし、展開が分かります。この辺りは見事です。

ときおり、色合いが緑がかったり青がかったりするシーンがあり、不可思議なイメージを受けます。最初はプロジェクターの調子が悪くなったのかと思うほど。このことによって、本作全体が幻のようにも見えますし、悲しみ・孤独感の象徴にも写ります。

美しい人妻・ソナ。説明はないのですが、夫からの暴力を受けていると思われます。独占欲・嫉妬心の強い夫に囲われたかごの鳥同然。ソナを慰め、いたわるテソク。

最初はひとり旅でしたが、ふたり旅になります。テソクとソナ。同じ行動を取るふたり。家々を歩き、食事をし、睡眠を取る。そして、事件が発生。収監されたテソクは、あいかわらず無言。房のなかでテソクは忍者のように奇妙な行動をとりはじめます。看守をあざ笑うかのような行動、不敵な笑み。そこには何があるのか。

そして、旅の最果てにようやく訪れた、愛と喜びに満ちた時間がありました。はかなくもいまだかつてない幸せが、ふたりを包みます。この世は夢か現か、幻か・・・。ひとは誰しも孤独を抱え、ぽっかりした虚空を埋める誰かを待ち続けている。だから、幻のように生きることもできるのかもしれません。

現代社会の中に潜む、孤独感、閉塞感、懐疑心等々、様々な感情、微妙な心理の揺れをリアルに描く本作。リアルだからこそ、寓話的でも、現実の世界と繋がった、誰かの夢のような世界を、見せてくれるのでしょう。

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