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2008/02/09

「4分間のピアニスト」私的映画考Vol.120

先日、「4分間のピアニスト」を観てきました。クリス・クラウス監督作品。出演:ハンナー・ヘルツシュプルング、モニカ・ブライブトロイ、スヴェン・ピッピッヒ、リッキー・ミューラー、ヤスミン・タバタバイ他。

刑務所で受刑者たちにピアノを教える老女・クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)。ある日、稀に見る才能の持ち主ジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルング)に出会う。しかし、反抗的で暴力的なジェニーは、幼い頃からピアノの才能に恵まれていたが、今では刑務所内随一の問題児となっていた。そんなジェニーに対し、看守や受刑者仲間は、嫉妬心と憎悪からの卑劣な妨害を行う。それでも、クリューガーはジェニーの才能に葬り去ったはずの自らの夢を託し、コンテスト出場を目指して厳しいレッスンを続けるが・・・。

クリューガーにも、ジェニーにも悲しい過去がありました。クリューガーは戦時中、愛し合った女性がいましたが、悲しい別れがありました。演奏家としても有望視されていましたが、結婚もせず、年老いた今では刑務所で受刑者たちにピアノを教えています。そんな現実を振り払うかのごとく、ジェニーへのピアノ指導に情熱を傾けていきます。

しかし、ジェニーの言動は極めて反抗的で暴力的。手の着けようがありません。しかし、次第に心を開きうち解け合いながら、ピアノの練習に没頭していきます。その裏には、ピアノ演奏家としての地位を諦めた自分。そして、諦めた愛。そんな想いがあったに違いありません。そして、それをジェニーに重ねていくクリューガー。

いつも冷静で、ある種、冷めているようなクリューガー。荒々しいジェニーがときおり魅せる素直で愛らしい行動の中に、過去に経験した、ふつふつと燃えたぎるような愛のようなモノを、感じていたのかもしれません。ぎこちなく、ふたりでダンスを踊るシーンが良いです。

ジェニーのピアノ演奏のシーンは、言動のように荒々しく暴力的にも映りますが、力強く、観るものを惹きつけます。「低俗な音楽」と侮蔑するクリューガーでしたが、その内面からわき上がる様な力強い演奏に何かを感じ、魅せられていきます。コンテストを次々に勝ち抜いていくジェニー。そして、ラスト「4分間」の演奏シーンは圧巻。これがジェニーの魂の叫びなのか。

人は、傷つき、過去に捕らわれながら生きている。人は皆、成功するために努力をする。才能があるのに努力もしないで怠惰に生きているのは、どんなに愚かなことか。そんな想いを感じられる作品です。この、ドキドキするような感情は何なのだろう。

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