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2008/02/26

「ヒトラーの贋札」私的映画考Vol.125

先日、「ヒトラーの贋札(にせさつ)」を観てきました。ステファン・ルツォヴィッキー監督作品。出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ、アウグスト・ツィルナー、マルティン・ブラムバッハ他。第80回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

第二次世界大戦時下、ドイツ。パスポートや紙幣の偽造で逮捕されたサリー(カール・マルコヴィクス)は、ユダヤ人強制収容所にいた。職人たちが働く秘密工場で、かつて自分を逮捕した男・ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)が指揮する「ベルンハイト作戦」に係わっていたのだ。大量の贋ポンド紙幣をばら撒き、イギリス経済を混乱させるのが目的。作戦が成功すれば家族や同胞への裏切りになる。しかし、完成できなければ、死が彼らを待っているのだったが・・・。

いわゆる「ナチスによるユダヤ人収容所もの」ではありますが、少し風変わりな作品です。ユダヤ人は皆、迫害され、侮蔑され、大戦が始まった時には、収容所に入れられました。戦前に、逮捕されていたサリーは、持ち前の芸術的才能を活かし、収容所内でも上手に立ち回っていきます。

そして、移送された先で出会ったのは、自分を逮捕した男・ヘルツォークでした。そこには、紙幣偽造をする「ベルンハイト作戦」のために集められたユダヤ人の職人たちがいました。今までの収容所とは違い、良い待遇が用意されていたのです。しかし、そこでも、死と隣り合わせの、過酷な現実はありました。

それでも、サリーは文字通り必死に、懸命に仕事をこなし、立ち回り、成果を上げていくのでした。それは、「完璧な贋札を作る」というプライドとも言える、職人魂だったのかもしれません。しかし、成果を上げると言うことはナチスに協力することになるのです。目の前で殺されていく同胞たち。仲間の中には、家族を殺された者もいます。

ナチスへの協力の負い目と、「生きたい」という思いの矛盾の中で、職人たちはさまざまな行動をとっていきます。苦悩と葛藤。そして、慟哭。怒り心頭の場面でも、どこか冷静なサリー。どうやって自分を押さえたのか。こんなところで死んでたまるかという、「生きる」ことへの執着だったのでしょう。

そして、終戦。生き残ったサリー。その時、彼らの胸によぎったモノは何だったのでしょう。何も残らなかったのでしょうか。サリーのとった行動から察するに虚しさだけが残ったのかもしれません。戦争という異常な状況では、何が正しく、何が間違いかに正解はないのでしょう。彼ら職人たちがとった行動はそれぞれに信念を持っての行動ですから、間違いはなかったのでしょう。生きているからこそ、明日があるのですから。

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