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2008/08/14

村崎友「風の歌、星の口笛」

村崎友「風の歌、星の口笛」角川文庫

今日、ご紹介するのは村崎友・著「風の歌、星の口笛」です。第24回横溝正史ミステリ大賞受賞作。書店で何となく手にした一冊。なぜか、夏になるとSF小説が読みたくなります。何となく冒険心というか、未知なるモノへの好奇心が湧き上がるのでしょうか、理由はよく分かりません。

3人の主人公が登場し、3つのストーリーが並列に進みます。一見関係のなさそうに進む、それぞれの物語。

1つめは、マムによって高度に管理された星。天候や電気、食料等々、すべてが、神とも呼べるマムに管理されていたはずの世界。しかし、マム製のメカ・ペットが死んだ?そんなことはあり得ない。捜査に乗り出す私立探偵のトッドだったが・・・。

2つめは、地球から人工惑星プシュケを目指していた地質学者のジョー。250年の旅の果てに辿り着いた星はすでに滅んでいた。砂漠化し動くモノは何もない。出入口のない建物の中で見つけたミイラ化した死体。いったいこの星で何が起こったのか・・・。

3つめは、地球。交通事故で頭を打って入院していたセンマ。退院の日に恋人のスウに会いに行くが、彼女はどこにもいない。誰も彼女を知らない。事故の後遺症で記憶がおかしくなってしまったのか、それとも・・・。

それぞれの物語は、それぞれの時代で、それぞれの謎を孕みながら展開していきます。人工惑星、コールドスリープ、外宇宙探査船、滅び行く星、密室殺人、宇宙歴、記憶ピアス等々・・・。SFっぽいキーワードが次々に出てきて、胸躍ります。そして、重要なキーワードとなる、歌。タイトルにもなっている風の歌、星の口笛。

宇宙探査機・ボイジャーが人類のメッセージとして、様々な言語の挨拶と音楽を記録盤に収録して搭載したという。いつか、どこかの人類以外の誰かに拾われることを夢見て・・・。そのメッセージを真似て、探査船クピドから船外へと音楽を流すジョー。それは、ちょっとしたいたずら心。そして、何故か降り立った砂漠の星を懐かしく感じ、口ずさんでしまう歌。母親が歌ってくれた子守歌。

一見、ばらばらだった物語は次第に結びつき、そして、大団円へと向かいます。最後の謎解きでも、すべてがはっきりとは語られません。それぞれの主人公はいろんなモノをなくし、そして何かを得ていきます。

宇宙の時間の中では一瞬の出来事かもしれませんが、 人間にとっては永遠にも等しい時間を超えて、約束の地で相まみえることができた魂=遺伝子。そこにあったのは、おおいなる愛でした。

大きなスケールで描くSFミステリー。すべての物語が一つになったとき、そこに描かれていた悲しい運命と永遠の愛に感動できる作品になっています。

・・・絶対にまた会える。僕らはそういう運命なんだ・・・

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