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2008/08/21

「ブレードランナー ファイナル・カット」私的映画考Vol.154

先日、ブルーレイディスクで「ブレードランナー ファイナル・カット」を観ました。リドリー・スコット監督作品(「アメリカン・ギャングスター」「プロヴァンスの贈りもの」「マッチスティック・メン」)。原作:フィリップ・K・ディック。出演:ハリソン・フォード(「インディ・ジョーンズ」「スターウォーズ」)、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、M・エメット・ウォルシュ他。

2019年、ロサンゼルス。高い身体能力と知能を持つ人造人間・レプリカント。そのレプリカントを合法的に処刑する権限を持つ捜査官・ブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード )は、逃亡した4体を処理するために追跡を開始する。捜査を進める中で彼はレプリカントの製造元であるタイレル社を訪れ、そこで美しいレプリカントのレーチェル(ショーン・ヤング)と出会うが・・・。

数年ぶりに観た「ブレードランナー」でした。DVDは持っていなかったので、それ以前だとするとTVで放送したモノを観たのかもしれません。そうすると、10年は観ていないと言うことになるでしょう。随分、久しぶりに観ましたが、スゴイの一言です。

冒頭のロスの映像は極めて美しく高精細です。雨、けむり、そして闇。室内でも灯りが乏しく暗いシーンが多く、ほとんど全編が夜のシーンなのですが、つぶれもなく陰影の濃淡さえも再現できています。光と影が象徴的でかつ印象的な映像が多いのですが、すべてブルーレイだからこそ再現できるのではないかと思えるほど美しい映像です。

アジア化した街並みは製作された1982年当時では、考えられないような映像で、最初に観たときは衝撃的でした。東洋人が数多く闊歩し、看板には漢字が、ビル一面の広告には動画が映し出される。空飛ぶ車が飛び交い、雑然とした街並みはゴミと人で溢れかえる。21世紀になった今、観てもあり得そうなイメージの映像が数多くあり、先見性を感じます。

特典ディスクのDVDには、4時間を超える当時のインタビューや最新のインタビューもあるメイキング映像が収録されていて面白いです。本作が、公開当初はあまり注目されず、徐々に人気を博していく過程の話は面白かったです。製作者や監督、それぞれの思い入れがあり、思惑があるんですね。

特撮シーンのメイキングは特に面白いです。今ならCGで作ってしまうようなシーンでも、あの当時は模型を作って撮影して、VFXで編集している。まさに特殊効果なんですね。監督、スタッフによる創意工夫が結実した映像は今観ても秀逸です。

レプリカントとデッカード。デッカードとレーチェル。デッカードは腕利きと言われているモノの、それほど凄腕とは感じられず、普通の人間のように感じられます。スーパーヒーローではなくただの心の弱いごく普通の人間として描かれています。そして、レプリカントであるレーチェルを愛してしまったデッカード。これもまた普通の人間なのかもしれません。

レーチェルに「(レプリカントかどうかを判断する)心理テストを受けたことがある?」と聞かれるシーンがあるのですが、デッカードがレプリカントではないか?と自分で疑うバージョンがあったと記憶していますが、今回のバージョンにはこの台詞だけが活かされていて、ユニコーンのイメージ映像はあるモノの、そのことを匂わせる他のシーンは登場しません。

メイキングでも解説されていますが、ラストには数多くのバージョンが存在し、ナレーション”あり・なし”バージョンもあるのです。確かに本作は難解な部分もあるので、ナレーションによる説明があると分かりやすいのかもしれませんが、それはそれ、観る者によって、沢山の解釈があって良いように思います。「ファイナル・カット」と題される本作のラストシーンは余韻のある終わり方になっています。

製造されて数年経つと意志を持つこともあるというレプリカント。人間の手によって作り出された人工生命体のはずのレプリカントが、命の尊さを感じ、そしてあまりにも脆い人間の生命を救う。燃えつきようとしていた自分の生命、思い出。美しいと言うよりは荘厳なイメージのクライマックスシーンです。

見たことのないような近未来世界。しかし、その未来はもうそこまで来ているのです。誕生から25周年を迎えた2007年、リドリー・スコット監督自らの手で再編集した本作。未公開シーンも追加されてより美しくなり、より深みを増した作品になっています。

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