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2008/09/12

「おくりびと」私的映画考Vol.156

先日、「おくりびと」の試写会へ行ってきました。滝田洋二郎監督作品。音楽:久石譲。出演:本木雅弘、広末涼子、余貴美子、吉行和子、笹野高史、山崎努他。第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟(本木雅弘)。演奏家を諦め、妻・美香(広末涼子)と共に故郷の山形に帰った。求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、仕事は遺体を棺に納める納棺師だった。最初は、戸惑いながらも、社長の佐々木(山崎努)に指導を受け、納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいたが・・・。

納棺師と言う職業を通して、生とは死とはを見つめ直していく大悟。社長であり、先輩である佐々木の美しく、スムーズな手の動き。旅立つ人に対する敬愛の念、厳かな儀式。そのすべての所作が見事に描かれます。

戸惑いながらも、納棺師の仕事の素晴らしさに気づいていく大悟。その様子をユーモラスに描きます。妻に仕事の内容を隠す大悟。旧友との再会。しかし、次第に大悟の仕事に関しての噂が広まり始め、関係がギクシャクし始めます。

仕事に貴賤はないはずですが、その仕事に誇りを持てるのか、一生の仕事としていけるのか、大悟は悩み始めます。そんな時、チェロを取り出し、奏でるのでした。雄大な自然を背景に美しいメロディが流れます。思いおこすのは幼い頃に生き別れた父のこと。しかし、顔が思い出せない。良い思い出は少なく、母と共に捨てられたと言う想いだけが残っています。そして、ある訃報が届きます。

誰もがいつかは迎える死。それは普通のことのはずなのに、何か特別なことのように思っているのが現実なのかもしれません。見送る人々には、それぞれにドラマがあり、想いがあります。泣いて送り出す人もいれば、笑って見送る人もいる。その場面になったときに、どう考えるのか。どう送られたいのか。そして、なにより、その場面に立ち会える納棺師は尊く、素晴らしい仕事と思えます。

親子、夫婦の愛情の深さ、絆、人間の尊厳を描いた感動作。

2008年9月13日公開。

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