« プリウスくんが行く!Vol.64 | トップページ | TSUTAYA DISCAS配送委託先変更、その後 »

2008/10/12

荻原浩「コールドゲーム」

今日、ご紹介するのは荻原浩・著「コールドゲーム(新潮文庫)」です。「」に続いて読んだ作者、2冊目の作品。

高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われている。高校野球の夏の大会で敗退し、暇をもてあましていた光也の元にそんな噂が流れてきた。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉の名が浮かび上がってきた。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが、犯行は次々とおこっていく・・・。

4年前にあった、いじめの事実。クラスのほぼ全員が、そのいじめに加わっていたと言います。襲われた同級生たちは、いじめの度合いによって、被害の大きさが違っていました。衣服を切られる、犬を殺される、身体を傷つけられる等々。犯行の前には必ず予告があります。それも、少し奇妙な。そして、事態は最悪の状況になってしまいます。

物語の中心となる、主人公・光也とその幼なじみでもある亮太との関係が、実に微妙で良い関係になっています。亮太は高校にも行かず、働きながら同棲中のこれまた同級生の美咲と暮らしています。光也の向いにある実家に住む父親とは仲が悪く、まったくより着きません。一度はヤクザになろうと思ったこともあるらしく、粗暴。少年科の刑事にも目を付けられています。

亮太はいじめをひどくやっていました。次のいじめのターゲットになりたくない光也は、そんな亮太を止められず、傍観していました。その関係は、17歳になった今でも変わらず、亮太には強く出られない光也。でも、二人の間には強い絆があるようでした。

転校してしまったトロ吉の行方はまったく掴めません。噂ばかりが耳に入ります。ナヨナヨしていた、中2の頃とは違い、身長もグンと伸び、モヒカン刈りで、筋肉隆々だとか。正体を見せずに近寄り、復讐を遂げていくトロ吉。その行為は徐々にエスカレートして行き、ついには最悪の事態になってしまいます。「北中防衛隊」は復讐を止めることは出来るのか?トロ吉の正体は?

あの頃のように「見て見ぬふりをするのは嫌だ」と言う想いが光也にはあります。トロ吉に会って、復讐を止めさせたいのか、何かを告げたいのか。いかにもありそうないじめの情景。そして復讐。4年も経てば体も心も、すべてが変わります。高校三年生。大人になりきれない少年たち。大人になった気分だけの少年たち。彼らはこの事件を通して何を学んだのでしょうか。

この作品を読んでいる間に、「20世紀少年」の映画を観て、直後にコミックを全巻読み返していました。2つの作品が、奇妙に重なり合って、なんだか、不思議な気持ちになりました。

思い出したくないあの頃、やるせない真実、そして、驚愕の結末。謎解きの要素もありながら、リアルな緊迫感が忍び寄る、サイコ・サスペンスになっています。「噂」「コールドゲーム」と作者のサスペンスを読みましたが、実に興味深い作品でした。今度は、ユーモラスな作品も読んでみようと思います。

« プリウスくんが行く!Vol.64 | トップページ | TSUTAYA DISCAS配送委託先変更、その後 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 荻原浩「コールドゲーム」:

« プリウスくんが行く!Vol.64 | トップページ | TSUTAYA DISCAS配送委託先変更、その後 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ