« 2008.10映画鑑賞総括 | トップページ | 「レッドクリフ」私的映画考Vol.164 »

2008/11/01

森見登美彦「四畳半神話大系」

今日、ご紹介するのは森見登美彦・著「四畳半神話大系(角川文庫)」です。

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを夢見ていたのに、現実はほど遠い学生生活。腐れ縁の悪友・小津には見事に振り回され、サークルではいつもひどい目にあっていた。サークルから逃げ出した5月のある日、不可思議な出来事が起こる。パラレルワールドで繰り広げられる、ほろ苦い青春ストーリー。

「四畳半」と言う言葉の響きになぜか興味をひかれ手に取った一冊でした。「四畳半」と言えば、松本零士の「男おいどん」に代表される、貧乏で、貧相で、報われない若者の物語をイメージします。本作もご多分に漏れず、報われない学生”私”が主人公です。

四話からなる本作。各章の出だしはまったく同じ文章で始まります。二話目を読み始めたときに、「あれ?」と思いました。「読んだんじゃない?」。それもそのはず、主人公同様紛れ込んだパラレルワールド=並行世界なのですから。どこか古風で、それでいてユーモアに満ちた文章に誘われるままに、読み進みます。

新入生の時にどのサークルに入ろうかと思い悩んだ私。候補は4つ。その4つのサークルそれぞれに入ったらどうなっていたか、が描かれます。そこでの主人公の想いはいつも同じで、「他のサークルに入っていたら、バラ色のキャンパスライフがあったのではないか」でした。

しかし、結果はいつも同じ。悪友・小津には振り回され、サークルでは辛い思いをし、樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそ、大学生活をやり直したい!と悶々とし謎の占い師を頼ります。同じ顔ぶれが、少しずつ立場を変えて登場します。なんだかんだとドタバタがあって、各話のラストシーンもまったく一緒(最終四話のみ少し違います)となります。

どんなサークルを選んで、日々、どんな意思決定をしたとしても行き着く先は同じ。それが悪いことなのか、良いことなのか、決めるのは本人次第。誰にも可能性は無限にあるのだから、人生の限界を自分で決めることはないのです。

京都の下鴨神社界隈で繰り広げられる、ちょっぴりほろ苦い、青春の香り漂う、SF的青春学園コメディ。カステラと魚肉ハンバーグが食べたくなり、不思議な体験を求めて京都を訪れたくなる作品です。

« 2008.10映画鑑賞総括 | トップページ | 「レッドクリフ」私的映画考Vol.164 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 森見登美彦「四畳半神話大系」:

« 2008.10映画鑑賞総括 | トップページ | 「レッドクリフ」私的映画考Vol.164 »

2019年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ