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2009/05/06

「グラン・トリノ」私的映画考Vol.183

先日、「グラン・トリノ」を観てきました。クリント・イーストウッド監督作品(「チェンジリング」「父親たちの星条旗」)。出演:クリント・イーストウッド(「ミリオンダラーベイビー」)、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ドリーマ・ウォーカー、ビー・ヴァン他。

フォードの組み立て工として長く勤めていたウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)。長年連れ添った妻を亡くし、息子の家族たちとも疎遠で、愛犬デイジー以外に信頼できる相手はいない。そして隣家に住むアジア系少数民族のモン族一家を嫌悪していた。ある晩、何者かが自慢のグラン・トリノを盗みに入った。それは、盗みを強要された内気なモン族の少年・タオ(ビー・ヴァン)だった。ウォルトとタオの交流が始まり、二人の間に少し奇妙な友情が芽生えていくが・・・。

引退後は、変化のない決まりきった生活を送っていたウォルト。何もかもすべてに怒りを覚えるウォルトは、絵に描いたような偏屈じじいと言った感じ。息子たちとも折り合いが悪く、自ら距離を置くような言動。人種差別的発言が多いのも、特徴的。特に隣人のアジア系少数民族モン族の一家は気にくわない。

説教じみた口調に出てくるのは朝鮮戦争従軍経験。何かと言っては「朝鮮では・・・」と始まります。亡き夫人とウォルトを教会へ向かわせるようにと約束したという若い神父・ヤノヴィッチ(クリストファー・カーリー)。生と死についてウォルトに説こうとしますが、とりつく島がありません。

そんなある日、ヴィンテージカー「グラン・トリノ」を何ものかが盗もうとします。犯人は隣家のモン族の少年・タオでした。気の優しいタオでしたが、従兄がチンピラグループに引き入れようと強引にテストをした結果でした。警察に届けることもなくウォルトは何事もなかったように過ごします。

そして、それを知ったタオの母親は、お詫びにタオに奉仕活動をさせてくれとウォルトに願い出ます。気むずかしいウォルトと心優しい少年タオとの交流が始まります。次第にうち解けていくウォルト。まるで父と子のよう。工具に興味を持ったタオに、工具を与え、仕事を紹介し、様々なアドバイスをしていき、一人前の男にしてやろうとするのでした。しかし、チンピラとのトラブルは日に日に増していくき、そして、、、。

積極的に人々と関わることなく、ただ人生が静かに終わるのを待つような生活を送っていたウォルトでしたが、タオやその姉・スー(アーニー・ハー)と心の交流を重ねていくようになり、生活に張り合いがでていきます。文化の違いはあれど、そこには、どうにもならない身内よりも、暖かく優しく、心やすらぐ赤の他人たちがいたのでした。

やがて、ふたりの間に芽生えた奇妙な関係。それは友情と言えるのでしょう。ある事件をきっかけに、ふたりは復讐することを決めます。それまでの数時間のウォルトの行動は、何かを残そうとするかのように、やり残したことをすべてやり尽くすように見えました。

そして、ウォルトは心のやすらぎを得る事ができたのでしょう。今までの人生を、自分の抱いていた偏見や人との接しに葛藤するウォルトの姿を通して、見つめ直す事ができました。何が幸せなのかは人それぞれでしょうが、きっとウォルトは何かを残せて、幸せだったのでしょう。タオにとっては、出会いが、人生を大きく変えていく瞬間でもありました。

アメリカに暮らす少数民族を温かなまなざしで見つめた感動作。いつもながら、クリント・イーストウッド監督作品には優しさを感じます。

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