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2009/10/13

「週刊 手塚治虫 創刊第17号」鑑賞

先日、NHKで放送された手塚治虫2009 ~いのち・科学・未来へGO!「週刊 手塚治虫 創刊17号」を観ました。2009年10月9日(金)、午後10:00~午後11:00  BS2。司会・石澤典夫アナウンサー、杏。

今年2009年は、手塚治虫の生誕80年、没後20年にあたります。おまけに、衛星放送も20周年。と言うことで、「2009年BSは手塚治虫」と題して、様々な特集、番組が用意されています。

今年2月から続々と放送された手塚治虫関連番組(「手塚治虫のすべて」「手塚治虫・現代への問いかけ」)に続いてスタートした「週刊・手塚治虫」。レギュラー放送は、月間3本の準ウィークリー番組として、4月から10月まで放送されます。月ごとにテーマを設け、作品を掘り下げていきます。10月のテーマは「生と死 そして永遠」。

創刊第17号のスタジオゲストは漫画家の萩尾望都さん。「火の鳥 未来編」を中心に語ってくれました。

手塚治虫がライフワークとして描き続けた「火の鳥」。過去、未来の時代を行き来しながら永遠の命を持つという火の鳥を巡る人間模様。その中の一作「未来編」。

「未来編」は、西暦3404年。地球は滅亡の淵にあり、地上には人間はおろか生物は殆ど住めなくなっていた。人類は世界の5箇所に作った地下都市“永遠の都”ことメガロポリスでコンピュータに自らの支配を委ねていた。メガロポリス「ヤマト」と「レングード」の対立に端を発した戦争勃発で、地球上のあらゆる生物が死に絶えてしまう。独り生き残った山之辺マサトは火の鳥に地球復活の命を受けるのだが、それには永遠とも思えるほどの長い時を待たねばならなかった。

マサトは永い孤独と試行錯誤の中で、結局、生命の進化を見守るほかないことを悟る。肉体が滅び意識体となったマサトは、原始生命から、再び人類が文明を生み出すまで、生命の悠久の歴史を見守り続ける。結末が黎明編へ繋がるような展開となっており、「火の鳥」全編の構成を示唆している。

コンピュータに管理された社会は、どこか冷徹で計算上で導き出された答えは人間の心では割り切れないように思えます。体外受精が実際に成功するのが1978年。その10年前に本作は書かれていたのも、驚異的。手塚治虫の先見性を感じると共に、今の時代を反映しているかのようでもあります。

「未来編」の名の通り、超未来の人類・地球の姿が描かれてはいますが、そこには夢も希望もなく、滅びゆく世界がありました。そして、人類絶滅後の未来も描かれています。一人生き残ったマサト。火の鳥の力により死ぬことのないマサト。不死の苦悩。孤独。永遠の命とは、いったい何なのか?それが人類が追い続けてやまない不老不死なのか。人間の業の先には、なにが待つというのか?

終わりがあるから懸命に生きるのだし、それを理解することが大切。いつか終わりが来るから、今を見つめ直すことが出来るのでしょう。

「黎明編」で始まって、2作目である「未来編」が一番遠い未来のようですが、未来編は実は一番最初のようにも思えてきます。それは輪廻なのかもしれません。人類はいつも間違っていて、何度も滅び、何度も再生し、生まれ変わっていく。生命が輪廻するように、人類もまた輪廻していくようにも受け取れます。

今を生きる我々はいったい何回目の人類なのか?どうすれば、人類は正しい道を進むことが出来るのか?そのためにはなにをすればいいのか?そんな手塚治虫のメッセージが込められれているのかもしれません。

萩尾さんは、「未来編」は、SFマンガとしてテクニック的にも見るべきものが多いと言います。SF設定に裏付けされた高度な未来描写。そして、「火の鳥」と言う作品の中でも「未来編」の存在が、他のエピソードにより意味を持たせているとも。

人類が滅んだ後に、ナメクジが文明を持つくだりがありますが、そのナメクジ文明も発達しすぎた科学を有効に活かすことが出来ず、愚かな戦争からとうとう滅亡してしまいます。その様子を火の鳥と共にマサトは見つめ続けます。人類の歴史は戦争の歴史なのかもしれませんが、争いを止めない限り、良き人類は誕生しないのかもしれません。

アニメはなしで、モーション漫画は「安達が原」。

次回、創刊第18号のスタジオゲストは精神科医 香山リカさん。2009年10月16日(金)、午後10:00~午後11:00  BS2。「火の鳥 異形編」を中心に語ってくれます。「週刊 手塚治虫」もいよいよ最終回です。

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