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2009/10/12

「クレイマー、クレイマー」私的映画考Vol.198

今日ご紹介するのは、言わずとしれた名作「クレイマー、クレイマー(1979)」です。ロバート・ベントン監督作品。出演:ダスティン・ホフマン(「ネバーランド」「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」)、メリル・ストリープ(「いつか眠りにつく前に」「マンマ・ミーア!」)、ジャスティン・ヘンリー、ジョージ・コー、ジェーン・アレクサンダー、ハワード・ダフ、ジョベス・ウィリアムズ他。

ジョアンナ・クレイマー(メリル・ストリープ)とテッド(ダスティン・ホフマン)は結婚して8年。7歳になる息子のビリーと三人の生活だったが、テッドは仕事第一主義で帰宅はいつも午前様。家庭にも関心がない。ジョアンナはビリーが気にはなるが、自分を取り戻すために家を出る決心をした。そして、残された夫は幼い息子の面倒を見るのだが・・・。

テッドの生活はその日から一変します。これまで全くと言って良いほどやったことの無かった家事をやらなくてはいけないのですから。最初の朝、朝食のフレンチ・トーストをビリーと作りますが、上手くいくはずもなく、もうメチャクチャです。掃除、洗濯、学校への送り迎え・・・。やることなすこと上手くいきません。その上、仕事では、大きな機会を迎えていました。

父子2人の生活はうまくかみ合わず、行き違いやけんかも絶えませんでしたが、少しずつ互いになくてはならない存在になっていきました。

最初は子どもとの関係や世話が上手くいかず、戸惑うテッドでしたが、次第に上手くいくようになっていきます。そんな時、時折頭をよぎるのは、いかに、今まで妻に頼りきりだったか、何もかも任せっきりだったかという想いでした。

そんなある日、1年以上も音沙汰がなかったジョアンナが突如現われて、ビリーを取り戻したいと言ってきます。本作の原題は「Kramer vs. Kramer」。クレイマー対クレイマー。離婚や親権の裁判になると名字が掲示されるためにこのようなタイトルになっています。終盤は不毛にも思える裁判の様子が描かれていきます。そのやりとりさえは、とても悲しくなってきます。

夫婦の関係においては、お互いに向き合うことが大切だったのだろうし、おもいやる気持ちも必要だったに違いありません。しかし、それはもう手遅れ。後悔しても元には戻らないのです。良い親の条件とは何なのか?自問自答するテッド。子どもの話しを忍耐強くこと?愛していればいい?毎日の繰り返しの中で、お互いに愛し、生活を築いていく。その中で、良い関係、親子になっていけばよい。

ズバリ泣き所は最後の朝。ジョアンナに引き取られることとなったビリー。二人で過ごす最後の朝食。かつては失敗したフレンチトーストを父子で作ります。それはもう手慣れた雰囲気で。いつもの朝食の風景。最後なのだからと、笑顔で送り出そうとするテッド。必死に涙をこらえようとするビリー。涙があふれる。止められない。感動的なシーンです。

今回、あらためて鑑賞しましたが、ラストを全く違うモノとして思い込んでいました。途中途中のエピソードは印象的に残っているモノもあるのですが、ラストシーンはどんなカットだったか覚えていませんでした。

余韻のある良いラストシーンだとは思いましたが、そこには想像する余地があるために、この先、いったいどうなっていくのか?と想像させてくれます。どんなカタチにせよ、三人はそれぞれに、幸せになったに違いないと思わせてくれます。しかし、そこには、観る者の個人の経験に依存する部分が多いのも間違いないところなのですが。

夫婦、親子、家族の関係というのは、バランスが大切なのでしょう。個人があって、家族があるのでしょうが、そこには誰かの「妻」であったり、「母」であったり、「娘」だったりと言う立場が絡んできます。仕事も趣味も大切。でも一番大切なのは家族。そのバランスを上手にとりながら個人の存在を忘れないこと。それは非常に難しいのかもしれませんが、出来ないことではないはず。

1979年公開と言うことで、今から30年も前の作品ではありますが、そこに描かれる人物は生き生きとし、個性的で、今でも全く色あせていません。時代は変わっても家族の孕んでいる問題というのはそう変わりがないのかもしれません。

離婚と養育権という、現代社会で避けては通れない社会問題を通して父子関係をハートウォームに描く人情劇。

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