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2010/01/13

有川浩「空の中」

「空の中」角川文庫

今日、ご紹介するのは、有川浩・著「空の中(角川文庫)」です。以前ご紹介した「Story Seller」に収録された有川氏の作品を読み感銘を受け、読んでみた作品です。

200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、航空機メーカーの事故調査担当者・春名高巳と生き残った自衛隊パイロット・武田光稀は調査のために事故空域へと飛んだ。高度2万m、その空域で彼らは、巨大な知的生命体と接触するが・・・。一方、高知県の浜辺で高校生の斉木瞬と天野佳江は、不思議な生物を拾う。その2つの生命体の謎に出会うとき、人類に前代未聞の危機が迫る・・・。自衛隊三部作の二作目「空」。

瞬と佳江が浜辺で拾った謎の生物。半透明の乳白色をした丸い生物。動いているところを見ると生物らしい。そして、ふと携帯電話から伝わる声。生物からのコンタクトでした。フェイクと名付けられたその生物と、悲しみの縁にあった瞬との交流が始まります。

瞬と佳江は幼なじみ。両親のいない瞬と隣に住む佳江はいつも口うるさく接しています。無類のUMA(未確認生物)好きの佳江もまた、フェイクに心酔していきますが、瞬の接し方は尋常ではありません。父親を亡くしたばかりの瞬は、孤独を癒すかのようにフェイクと戯れるのでした。このふたりは、友達以上恋人未満の微妙な関係で、非常に良いです。

そして、もう一組の主人公。春名高巳と武田光稀。高巳は事故調査のため航空自衛隊岐阜基地に赴きます。そこで出会った武田光稀三尉。男性ばかりの職場で一人女性パイロットして働く、厳しく、気丈な性格。男のような話し方で歯に衣着せぬ物言いをし、真っ直ぐな性格をしています。一方、高巳は優秀ではありますが、へらへらした軽い感じの性格が災いし、光稀との第一印象は最悪。次第に関係は和らいではいきますが、実にもどかしい。

そして、この4人が、物語の中心として、この事件の核心へと迫っていくことになります。

あいかわらず、どんな話しなのかわからずに読み始めましたが、あれよあれよと物語に引き込まれていきました。2組のカップルを交互に描きつつ、次第に物語は一つへと紡がれていきます。青春と一言で言ってしまうのはもったいないくらい、純粋な主人公たち。それぞれに悲しみを抱え、その悲しみを痛いほど感じる。

主人公・瞬を温かく見守る「宮じい」こと宮田喜三郎老人。味のある実に良い人物です。宮じいは、瞬に対しても、他の人に対しても、あからさまにこうしろ、ああしろとは言いません。正しいことをただ言うだけ。そして、自らの行為を決め、選択するのは自分しかいないのです。間違ったことをして、それを元に戻すことはできません。それなら、どうすればいいのか?宮じいの台詞に心が洗われる思いです。

SF的なストーリー展開に、次はどうなるのだろうかと胸躍らせ、生き生きと描かれた登場人物たちの一挙手一投足に笑い、そして涙し、感動。物語は、クライマックスへと向かいます。そして大団円。また、巻末に併録されている、後日談を描いた「仁淀の神様」も秀逸でした。

原因不明の航空機事故と、謎の知的生命体。それらに関わる人々はやがて、ある場所へと集まっていきます。最後に救われるのはいったい誰なのか。謎の生命体はいったい何なのか?その目的は?謎が謎を呼ぶ未曾有のスペクタクルエンタテインメント。オススメの一冊です。

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