「台北に舞う雪 ~ Snowfall in Taipei」私的映画考Vol.215

先日、「台北に舞う雪 ~ Snowfall in Taipei」を観てきました。フォ・ジェンチィ監督作品(「山の郵便配達」)。出演:チェン・ボーリン、トン・ヤオ、トニー・ヤン、モー・ズーイー、ジャネル・ツァイ他。
台北北部、ローカル線の終着駅がある小さな町「菁桐」。青年モウ(チェン・ボーリン)は、幼い頃にいなくなった母親が帰ってくる日を待ちながら、町中の雑用を引き受けて暮らしていた。そんなある日、この駅に一人の女性が降り立った。新人歌手として売り出し中だったが、声が出なくなり、台北を飛び出してきたメイ(トン・ヤオ)だった。町の食堂で働き始めたメイは、やがて明るさを取り戻していく。そして、新聞記者がメイの居場所を突き止め、しつこくつきまとい始めるが・・・。
物語の舞台となる「菁桐」は、渓谷の小さな町で、美しい自然とレトロな街並が、どことなく尾道を思い起こさせます。そんなノスタルジックな町の中を、主人公の青年モウは、自転車で走ります。町の便利屋さんであるモウ。幼い頃に出て行ってしまった母親。いつか帰ってくる日を待っています。一人残されたモウを町の人々は助けてくれました。その恩返しのために、便利屋さんを続けています。
そこに、本作のヒロイン・メイが訪れます。いかにも芸能人がお忍びでという感じでしたが、モウを始め町の人々とふれあう中で、こころ穏やかになっていきます。新人歌手のメイ。新曲の記者発表の直前、声のでなくなってしまったメイ。逃げ出してしまい、この町を訪れますが、本当の理由は他にありました。
次第にこころ通わせていくモウとメイ。しかし、新聞記者に居場所を突き止められ、プロデューサーやマネージャーの知るところとなってしまいます。ふたりは引き離されてしまうのか?
穏やかに暮らしているように見える人でも、悩みばかりがつきまといます。それでも前に進むしかないのです。夢を諦めるのか、それとも愛する人と共に生きるのか?メイはきっと悩んだのでしょう。しかし、「人を愛することと、夢を追うことは同じことだ」と告げるモウ。どんなに辛いことがあっても、想いさえあれば、愛する人に傷つけられることはないのです。
穏やかに優しくほほえむ青年モウを、チェン・ボーリンが演じ、劇中でも「チャン・ツィイー」に似ていると言われていた可憐な少女メイを、トン・ヤオが演じていて、さらに、なかなか味のあるキャラクターが脇を固めていますし、映像としては美しく仕上がっているようには思いましたが、ストーリーとしての動機が今ひとつ見えにくかったのが、実にもったいなく思いました。ランタン祭りの映像などは実に美しく幻想的に仕上がっていたのですが。想像力で補って見ると良いのかもしれません。
異なる世界に住む2人が出逢い、惹かれ合い、そして別れの時。台北に雪は降る時がくるのか。せつない恋心をノスタルジックに描くラブストーリー。
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