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2010/06/15

「プレシャス」私的映画考Vol.222

先日、「プレシャス」を観てきました。リー・ダニエルズ監督作品。出演:ガボレイ・シディベ、モニーク、ポーラ・パットン、マライア・キャリー、シェリー・シェパード、レニー・クラヴィッツ他。第82回アカデミー賞、助演女優賞、脚色賞受賞。作品賞監督賞他ノミネート作品。

ニューヨーク・ハーレムに暮らす16歳の黒人少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)。中学校に通っていたが、二人目の子どもを妊娠していた。二人とも、実の父親に性的虐待を受け手、できた子どもだった。そして、実の母・メアリー(モニーク)からも虐待を受けている。妊娠の事実が学校に知れ、プレシャスは学校を退学になるが、校長先生のすすめにより、代替学校に通い始める。そこで、プレシャスは、レイン先生(ポーラ・パットン)と出会い、次第に文字が読めるようになっていく。そして、劣悪な環境から抜け出そうと戦い始めるが・・・。

家族からの虐待に苦しむ黒人少女・プレシャス。学校の授業にはついて行けません。家に帰れば、家事に追われ、生活保護を受けている母親は何もせず、虐待も受けていました。父親は家にいません。プレシャスが受けている虐待は凄まじいモノで、目を覆わんばかりです。

代替学校“EOTO”に通うようになってから、プレシャスの生活が変わっていきます。読み書きの練習に始まり、毎日、ノートに何かを書くことが日課となり、それが楽しくなっていきます。レイン先生との交換日記。レイン先生はどんな境遇のどんな生徒に対しても、真摯に前向きに当たってくれます。そして、何よりも信じてくれていました。学友たちも、また、信じ合える仲間となっていきました。それらのことにより、今の自分の生活でさえも、希望を持っても良いように思えてきたのでしょう。

面白いのは、夢想好きなプレシャスの思い描く夢のような生活。白馬に乗った王子様ばりの、バイクに乗ったイケメン男性が登場したり、ゴージャスな生活をしたり、アルバムの写真がしゃべり始めたり・・・。厳しい現実の生活の中で、ユーモラスな映像表現が一瞬、心を和ませてくれます。妄想と言ってしまえばそれまでですが、いつかはきっと、何かを掴むことが出来るに違いない。そうなりたい。と言う願望の現れだったのでしょう。

終盤、プレシャスを虐待する母親・メアリーを演じたモニークの圧巻の演技は注目です。涙を流し、訴えかける姿。それは、迫力があるとも言えるのでしょうが、実は底の浅いモノだった。それを感じさせる演技力は秀逸です。

彼女を襲う、目を覆いたくなるようなむごい現実の数々。物語自体はフィクションなのでしょうが、これに近い現実があるのかもしれません。それでも、プレシャスには、現実に立ち向かい、諦めることなく、自分の出来ることを一つ一つやっていった。文字を学ぶことにより自我を確立し、自分の感情を文字で人に伝えることも知る。そして、自身の可能性を大きく広げて行く視野を持つことが出来た。

誰にでも未来は無限に広がっているはず。それをどう決め、どう生きていくのかは自分次第。そこに、何物にも代え難い貴い宝物があるとしたならば、こんなに幸せなことはないでしょう。プレシャスの行く道には、きっといくつもの光が満ちあふれていることでしょう。

アメリカの今を伝え、観る者に勇気と希望を与えてくれる感動作。

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