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2010/07/03

「オーケストラ!」私的映画考Vol.223

先日、「オーケストラ!」を観てきました。ラデュ・ミヘイレアニュ監督作品(「約束の旅路」)。出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン(「イングロリアス・バスターズ」)、フランソワ・ベルレアン(「トランスポーター」シリーズ)、ミュウ=ミュウ、ドミトリー・ナザロフ他。

かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレ(アレクセイ・グシュコブ)。今はさえない劇場清掃員として働いていた。ある日パリのシャトレ劇場からきた出演依頼のFAXを偶然目にした彼は、とんでもないアイディアを思い付く。クビになったかつての楽団仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込もうというのだ。早速元チェロ奏者のグロスマン(ドミトリー・ナザロフ)に話を持ちかけるが・・・。

ソ連時代の圧政で地位を奪われたロシアの元天才指揮者・アンドレ。いまはしがない劇場清掃員。清掃中に届いたFAXには、ボリショイ交響楽団へのパリでの公演依頼がありました。それを見て閃いたアンドレは、思わず懐へ。そして、かつての楽団仲間であり旧友のグロスマンと共に、かつての仲間を集め、オーケストラを編成し、ボリショイになりすまそうと計画するのでした。

そこから、ドタバタ喜劇がスタートします。次から次へと問題が発生しますが、裏技裏技で解決していきます。30年間、苦汁をなめ続けた元楽団員たち。二つ返事でパリ行きを承諾。なんとかパリへと旅立ちますが、まだまだ問題は山積。ドタバタは続きます。ここまでひどいと、依頼したシャトレ座も怪しむだろうにと思いますが、そこはそれ、シャトレ座も問題を抱えていましたので、大目に見てしまいます。

出演交渉の際、アンドレが上げたのは、ソリストに指名したヴァイオリニスト・アンヌ・マリー=ジャケ(メラニー・ロラン)。美貌もさることながら、有名なヴァイオリニストである彼女の出演が、絶対条件である。その理由にはアンドレや楽団員たちとの30年前の因縁があったのでした。

それぞれの裏の目的でパリ滞在を満喫するメンバーたち。メンバーが集まらずリハーサルも行えないまま、本番を迎えることになりますが、公演は行うことは出来るのか?!と言う事態に陥ってしまいます。

全編を流れるモーツァルト、バッハを始めとしたクラシックの名曲の数々。そして、クライマックスで演奏されるチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」。30年前の因縁の曲であり、ロシアの魂でもある楽曲。この演奏が圧巻でした。序盤は、ぶっつけ本番、それも30年ぶりの演奏ですから、思わず顔をしかめてしまうほどひどい演奏でしたが、次第に音と音が、楽器と楽器が絡み合い、ハーモニーが紡がれ、勇壮で哀愁を奏でる奇跡の演奏となっていきます。そして、疑問や謎が、演奏と同時にすべて明かされる演出も見事ですし、それぞれの30年間の思いが解き放たれ、ひとつになっていく様も実に感動的で、泣き所になります。

難を言えば、アンヌ・マリー役のメラニー・ロランが実際に演奏していないであろうこと。もう少し、演奏している様な演技をするか、演出で見せるかしてくれれば、さらに感動も増すというモノなのですが、ここら辺が「北京ヴァイオリン」と違うところでしょう。

ロシア・ボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働くさえないかつてのマエストロが、昔の楽団仲間を集めてパリ公演を成功させ、真の目的を叶えようとする姿を描く人間ドラマ。究極のハーモニーを求める人々とその演奏と共に、伏線も見事に紡がれていく感動作。夢を見る力はどんな状況でも希望となるのだから。

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