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2010/11/13

「イヴの時間 劇場版」私的映画考Vol.230

先日、DVDで「イヴの時間 劇場版」を観ました。吉浦康裕監督作品。声の出演:福山潤、
野島健児、田中理恵、佐藤利奈、ゆかな、中尾みち雄、伊藤美紀、清川元夢、沢城みゆき、杉田智和、水谷優子、山口由里子、榎本温子、石塚運昇他。

アンドロイドを家電として扱う近未来。子どものころからアンドロイドを人間視することなく、便利な道具として利用してきた高校生のリクオ(福山潤)は、ある日、自家用アンドロイド、サミィ(田中理恵)の行動ログに不審な文字列が刻まれていることに気づく。親友のマサキ(野島健児)と共にログを頼りに喫茶店、“イヴの時間”を訪れたリクオは、人間とアンドロイドを区別しない店のルールに驚く。

日常に人型ロボット(アンドロイド)が存在する近未来。アンドロイドたちは、仕事として主に家事手伝いをしていますが、頭上にあるリング以外、人間とまったく変わらない外見をしています。

高校生の主人公・リクオは、自家用アンドロイド、サミィの行動を不審に思い、親友のマサキと共にログを頼りに喫茶店、“イヴの時間”を訪れます。そこには、「当店では人間とアンドロイドを区別致しません」と店のルールが書かれていました。劇中登場するのが「ロボット法」。アシモフの「ロボット三原則」を基にアンドロイド・ロボット運用のために作られた法律。それを遵守するのが当たり前。そう思っていたリクオとマサキ。しかし、その店では違ったのです。

アンドロイドは、頭上のリングを消しているため、見た目は人間とは区別がつきません。なので、その店の客は、誰が人間で誰がロボットであるのか一見分かりません。それどころから、区別するような言動は店のウェイトレス・ナギ(佐藤利奈)にたしなめられてしまいます。

いつもべったりのカップル。本を読む男性。幼女の世話をする老紳士。ロボット然とした外見の旧式ハウスロイド。そこに集まる人間やアンドロイドたちと関わっていき、お互いに少しずつ影響を及ぼし合っていきます。

家では普段は家電として振る舞うようにしているため、無表情で、感情をあらわにすることはありませんが、“イブの時間”にいる時は、ロボットとはいえ、そこには精神が宿っているよう。命令をする者、命令を受ける者。それだけの関係。現在のロボット法では、それが正しいのかもしれない。でも、それだけではない。ロボットでも感情があるのだから。やがてその小さな変化は、外の世界へも波及していきますが・・・。

狂言回しとしてのリクオとマサキでしたが、終盤では物語の中心となっていきます。感動的だったのは、マサキと旧式なハウスロイド・テックスとの関係。マサキの父は倫理委員会のそれなりの立場の人間であり、幼少のマサキがテックスと親密になっていくのが許せませんでした。そして、ある命令をテックスに下していたことが、分かっていきます。子どもよりも親の命令が優先されると言うプログラムが、テックスを、マサキを苦しめていたのでした。その真実が分かった時、氷が溶けるように、気持ちがあふれ出すのでした。

アンドロイドを家電として扱う近未来を舞台に、高校生の成長を描くSFアニメ。「1st. シーズン完全版」として再編集された劇場版なので、さらなる展開が楽しみです。古典SF的な雰囲気を漂わす内容ながらも、現代社会に潜む他者とのかかわり合いを問うようなテーマが含まれており、古さの中にも、新しさを感じられる作品になっています。

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