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2011/03/15

「脳内ニューヨーク」私的映画考Vol.237

先日、「脳内ニューヨーク」を観ました。チャーリー・カウフマン監督作品(「アダプテーション」「マルコヴィッチの穴」)。出演:フィリップ・シーモア・ホフマン(「カポーティ」「ダウト」)、サマンサ・モートン(「エリザベス:ゴールデン・エイジ」)、ミシェル・ウィリアムズ(「シャッターアイランド」)、キャサリン・キーナー、エミリー・ワトソン他。

ケイデン・コダート(フリップ・シーモア・ホフマン)は人気の劇作家。画家の妻アデル(キャスリーン・キーナー)、娘のオリーヴ(セイディ・ゴールドスタイン)と3人で暮らしていたが、個性のない舞台演出を無気力に続ける夫にアデルは失望、オリーヴを連れてベルリンへ。落ち込み、孤独な日々を送るケイデンの元に、マッカーサー・フェロー賞、別名“天才賞”の受賞の知らせが舞い込む。思わぬ賞金を手に入れたケイデンは自分の頭の中にある“もうひとつのニューヨーク”を現実のニューヨークの中に作り出すというものだった。超巨大な倉庫の中に作られていくケイデンの“脳内ニューヨーク”。彼は俳優たちに、その中で人生を構築させ、上演しようとするのだが・・・。

「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」と毎度奇抜な脚本を世に送り続けたチャーリー・カウフマンの監督デビュー作。本作でも、もちろん脚本も書いていて、奇抜なアイディアが満載されています。ユーモラスなシーンも多々ありますが、人生の悲哀を感じさせる物語になっています。

大きな倉庫にニューヨークの街並みを作り出し、そこには多くの俳優たちがそれぞれの人生を演じている。ケイデンを演じるモノや、妻アデル、受付嬢ヘイゼル等々。今までの登場人物たちを俳優たちが演じていきます。その人々にケイデンは演出していくのです。それは彼の中にある理想の人々。次第に現実なのかどうかさえ分からなくなっていきます。そして、彼もまた演じるようになっていきます。そんな中、際立っていくのは彼の孤独感。

そんな舞台稽古は延々と続き、十数年の時が経っていってしまいます。

ケイデンの人生経験から来る言葉の数々。人生は複雑で、生まれた時から死へと向かっている。真実はわずかしか見えず、人生には多くの糸が連なっているのです。脳内ニューヨークの中に生きる人々は、どこかで繋がっていますし、一様に年を取っていきます。当たり前のようですが、それを作り物として見続けることはあり得ません。

人生の選択は1度きり。だからいつでも後悔がつきまとう。そして、傷つきながらも幸せなふりをして生きていくしかない。誰もが悲劇の主人公なのだから。生きることはもがくことに違いありません。そして、誰一人として例外はないのです。まして、自分だけが特別なはずはあり得ないのです。皆、等しく同じ人間なのですから。

この奇抜なアイディアの作品を演じる役者たちが良い。一癖もフタクセもありそうな役者たちを登場させ、ナチュラルな演技で飾っていきます。中でも、ケイデンを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンはさすがです。斬新なセットや映像センスなど、初監督作品とは思えない作品となっています。

人生に行き詰った人気劇作家が、自分の人生を再生するため、ある壮大な芸術プロジェクトに挑む人間ドラマ。自分の頭の中のニューヨークを実際のニューヨークに作り出し、誰も観たことない舞台を上演することは出来るのか?

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