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2011/06/06

「月に囚われた男」私的映画考Vol.243

今日ご紹介するのは「月に囚われた男」です。ダンカン・ジョーンズ監督作品。出演:サム・ロックウェル(「フロスト×ニクソン」)、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリー、ケヴィン・スペイシー(「ラスベガスをぶっつぶせ」)他。

地球のエネルギーは底をつき、新たな燃料源を月で採掘することになった時代。“ルナ産業”の従業員サム・ベル(サム・ロックウェル)は燃料源採掘のため、月に派遣される。会社との契約期間は3年間、一人での任務であった。地球との直接通信は故障中で、話し相手は一台の人口知能ロボット(声:ケヴィン・スペイシー)だけ。孤独な任務が続く中、地球で彼の帰りを待つ妻と子供への思いがサムの心を支えていた。そして任務終了まで2週間を切ったある日、サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する。果たして単なる幻覚なのか、それとも・・・。

月の採掘基地にただ一人。話し相手は人工知能のみ。ときおりビデオメールにて通信がある、家族の近況を知らせる内容が、心の慰めとなっていました。いわゆる密室劇のほぼ一人芝居。閉塞感たっぷりの環境で、任務終了まで2週間と言うのが、またリアルです。まもなく家族の元に帰れると言う時に起こった事故。そこから、奇妙な出来事が起こり始めます。

「2001年宇宙の旅」のような古典本格SFに通じる雰囲気が漂うのは、採掘基地の色使いが白を基調としているからなのか、コンピュータと会話するシーンが多いからなのか、謎めいたストーリーのためなのか、良くわかりません。低予算で作られた作品とは言え、月面での採掘のシーンはチープな感じもありながら、それなりに納得のいく映像になっています。

1人2役を見事に演じるサム・ロックウェルの演技力もさることながら、人工知能ロボットの声を演じたケヴィン・スペイシーも良かったです。当然ですが、沈着冷静で感情を全く感じさせない声でしゃべりますが、何か秘密を抱えているコンピュータ。これが、心理的に圧迫感を感じ、得も言われぬ緊張感を醸し出していき、サムの精神を蝕んでいったのかもしれません。

伏線がしっかりしているので、ミステリーとしても楽しめる作品になっています。昨今、SFと言う言葉が陳腐化してきている様な気がしますが、それでも、科学的設定で非日常の世界で巻き起こる物語には、やはりSFと言う言葉が当てはまるのでしょう。最近、このような古典SF作品が少なくなってきたのは21世紀になったからなのかもしれません。でも、20世紀と比べて、日常はあまり変わっていないんですよね。

月で孤独にたえながら、エネルギー採掘に勤しむ男に起きた奇妙な現象を描いていくSFスリラー。感動的なラストをご堪能下さい。

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