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2011/11/24

「ちいさな哲学者たち」私的映画考Vol.256

先日、「ちいさな哲学者たち」を観てきました。ジャン=ピエール・ポッジ、ピエール・バルシェ監督作品。

2007年、フランスのとある幼稚園で世界初の試みが始まった。パリ近郊のZEP(教育優先地区)にあるジャック・プレヴェール幼稚園。そこで、3歳からの2年間の幼稚園生活に哲学の授業を設けたのだ。幼児クラスを受け持つパスカリーヌ先生は月に数回、ろうそくに火を灯し、子どもたちを集める。みんなで輪になって座り、子どもたちは生き生きと屈託なく、時におかしく、時に残酷な言葉を発しながら様々なテーマについて考えて、そして、話す。“愛ってなに?”、“自由って?”、“死って何?”・・・。

我々大人でさえも、「哲学」と聞くだけで、身構えてしまいますが、それを幼稚園児にさせると言うプログラムなのですから凄いことです。しかし、子どもたちは凄いです。最初は無言が続いたと言うことでしたが、次第にそのプログラムになれてきた子どもたちは、様々なテーマに対して、自分の思うところ、考えを話し始めます。言葉はつたないですし、説明するすべも持ちませんから、なかなか上手には話せませんが、卒園する頃には、実に雄弁でした。

考えることは、とても大切なことですが、それができていないのが今の学校教育なのかもしれません。それを、幼稚園でやるというのはとても有意義なことだと思いました。フランスが舞台ですから、人種が様々です。子どもたちにはそんなことは関係ないでしょうが、“違い”をテーマにした時は、肌の色に関して、ちょっとドキッとするようなやりとりもありました。しかし、それも大事なことなのでしょう。

意見が違った子に、暴力を振るった子がいました。意見が違うってことは、悪いことではなく、違うのであれば、言葉でやりとりをして、お互いの意見を交換すればいいのですが、時に、子どもにはそれが分からなくなってしまうこともありました。そのシーンは、なかなか良かったです。言い含めるように納得させる先生が素晴らしい。

“自由って何?”でも考えさせられました。大人は自由で、子どもは自由でない。子どもは金網で守られているとか、大人も仕事に行かなければならないとか、子どもは辛辣なモノです。自分自身でも漠然と、大人は自由なんだろうなあと思ってはいましたが、よく考えれば、自由なんてないのかもしれませんねえ。

自分の考えを言葉にし、さらに他人の意見に耳を貸す事を学習、論理的な思考を身につけていく子どもたち。卒園するのが嫌だとも言います。それは“考える”時間がなくなるから。でも、そんなことはなく、考えることが自然になっていけば良いんですから。お友達とも家の人とも、誰とでも話せば良い。それを哲学というかは、別の問題。

観ている内に、子どもだったことを忘れてしまうほど、凄いことを話します。心なし歩く姿も大人びて見えました。きっと、子どもたちには、人生を豊かに生きる力みたいなモノが身についていくことでしょう。そこには、無限の可能性があるに違いありません。日本でこのようなプログラムができるとは思えませんが、幼稚園ではないところで、これに近いことはできても良いのかもしれません。

“子どものための哲学”という研究成果に基づき、世界で初めて哲学の授業を取り入れたパリの幼稚園の様子を捉えたドキュメンタリー作品。

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