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2011/12/01

「おじいさんと草原の小学校」私的映画考Vol.257

先日、「おじいさんと草原の小学校」を観てきました。ジャスティン・チャドウィック監督作品(「ブーリン家の姉妹」)。出演:ナオミ・ハリス(「パイレーツ・オブ・カリビアン」)、オリヴァー・リトンド、トニー・キゴロギ、アルフレッド・ムニュア、ショキ・モガパ他。

ケニア共和国。2003年、政府が無償教育制度をスタートした。草原の小学校の前に押し掛ける子供たちの中に84歳の老人の姿があった。彼の名はマルゲ(オリヴァー・リトンド)。周囲の人々にからかわれながらも通い続けるが、門前払いされる日々を繰り返す。やがてその情熱に突き動かされた校長のジェーン(ナオミ・ハリス)は、周囲の反対を押し切って彼の入学を認める。子供たちに混じって、初めて学ぶことの楽しさを知るマルゲ。ジェーンも次第に彼の良き理解者となってゆく。過去に打ち勝ち、未来を変えるため、マルゲは勉強を続ける。その情熱は、歴史を知らない幼い級友たち、そして政府までをも動かしてゆく。

序盤は、田舎の小学校に殺到する子どもたちを描き、そんな中、マルゲが門前払いされるシーンを少々ユーモラスに描きます。ラジオから聞こえてくる、DJの絶叫。“誰もが無償で小学校で勉強ができる”と。その声を頼りに小学校へ何キロもの道のりを学校まで歩いて来たのに。いつしか、マルゲの学びたいという情熱にほだされた校長のジェーンは入学を認めます。小学校と言っても学年はなく、小さな子から大きな子までいますが、その中にひときわ大きなマルゲが座っている絵はなかなか珍妙です。

今まで教育を受ける機会がなかったマルゲは、“文字を読みたい”という一心から勉強をします。ジェーンも次第に彼の良き理解者となっていきます。そんな中でも、周囲の範囲の声は続いていました。

勉強の遅れがちな級友がいれば、やさしく教えてあげたり、また小さな女の子に教えられたり、慰められたり、なかなかほほえましいシーンもあります。が、マルゲには悲しい過去があったのです。

50年前の悪夢が毎夜、彼を苦しめ続けていました。独立戦争の兵士として闘う中、愛する妻子や仲間を目の前で虐殺され、強制収容所で拷問を受けた日々。彼の身体にはその傷跡がありありと今も残っているのでした。級友たちに在りし日の我が子の姿を重ねてみても虚しいだけ。

転勤させられてしまったジェーンを取り戻すべく、子どもたちは大胆な行動に出ます。そして、またマルゲも自分のできることをやります。首都ナイロビに出向き、直談判。過去を忘れることなく、過去から学ぶべきだ。子供に教育することは、国の繁栄に繋がるのだからと。そして、ジェーンが帰ってくる日。実に感動的でした。無学の老人が教育を受けるというほのぼのとしただけの作品ではなく、悲しい歴史の体現者であるマルゲ自身から、周囲の者たちが多くの事を学んでいく過程が本作の本質だったのでしょう。

84歳で小学校に通うことになった“世界最年長の小学生” ケニアのキマニ・マルゲと幼い級友、理解者である教師との交流を、実話に基づいて描く人間ドラマ。

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