« それゆけ!アクアくん Vol.6 | トップページ | 2012.03映画鑑賞総括 »

2012/03/29

「哀しき獣」鑑賞

先日、「哀しき獣」を観てきました。ナ・ホンジン監督作品(「チェイサー」)。出演:ハ・ジョンウ (「国家代表!?」)、キム・ユンソク、チョ・ソンハ、イ・チョルミン、カク・ピョンギュ、イム・イェウォン他。

中国、延辺朝鮮族自治州・延吉で妻と娘と暮らすタクシー運転手グナム(ハ・ジョンウ)は生活が苦しく、娘はグナムの母に預け、妻は韓国へ出稼ぎに行く。しかし妻からの送金はなく、音信も途絶える。妻の入国資金として作った6万元の借金を返すため、仕事に精を出すモノの賭け事でするという日々を送っていた。返済を迫られたグナムは、請負殺人ブローカーのミョン(キム・ユンソク)との取引に応じ、韓国へ行きある人物を殺すことになる。グナムは密航船で韓国に渡り、住所を頼りに名前しか知らない人物を捜し出すのだったが・・・。

中国と北朝鮮の国境に位置する延辺朝鮮族自治州。見るからに貧しい生活臭が漂います。そこでも、朝鮮族は肩身の狭い思いをしていました。そこに暮らすグナムは、借金を抱え、なんとか返済しようとしますが、泥沼のように抜け出せません。韓国へ出稼ぎに行った妻とは音信不通で、送金もありません。いつしかこんな生活から抜け出したいと思いながらも、身動きができない状態でした。

そもそも“朝鮮族”という存在を初めて知りました。なぜ、そのような状況になってしまったのかは、良くわかりませんが、悲しい歴史の顛末なのでしょう。そして、韓国へと行くためには、合法的か非合法かによります。妻は合法的にビザを取得したようですが、ぼったくられていたようで、それが借金の元でした。グナムは非合法の密入国。狭い船倉に閉じ込められ、何日も漁船に揺られます。こんな苦しい思いをしても生活を変えたい、妻の消息を確かめたいと思うのですから、すべては愛なのでしょうねえ。その上、何の恨みも無い相手を殺すというのですから、とんでもないことです。

ということで、韓国に密入国したグナムは、見知らぬ土地へと歩を進めます。見るモノ聞くモノすべてが別世界。食べたことのないモノを食べ、寒さに震え、目的を達するべく行動します。そして、もう一つの目的、妻の消息も探します。タイムリミットまで時間がありませんから、焦ります。いよいよ、ターゲットに近づこうとした時、アクシデントが発生。なんとか、殺人の証拠となるモノを持ち出しますが、警察に追われる事になってしまいます。ここからがこの作品は長かった。延々逃亡生活が続きます。

複雑に絡み合う怨恨。そしてブローカー・ミョンが現れ、さらに物語は過激に展開していきます。暴力描写は、際限なく続き、もう血みどろです。映像としては、直接暴力シーンが映し出されている訳ではありませんが、想像させるには十分です。拳銃は警察官のみで、ギャング同士の戦いはナイフや斧ですから、残酷さはさらに際立ちます。直接的なシーンでは、ピントが甘くなり、全体がセピア色に変わるという面白い表現がありました。

カーチェイスのシーンはとにかく大迫力。スピード感は凄まじいです。また、アップのカットが多いですが、手持ちカメラを多用し、それが揺れます。やるせない、もどかしい、慟哭の心情表現なのかもしれません。

原題は「黄海」ということで、生まれ故郷を離れ、愛のために懸命に生きようとした男の悲しい末路は海に帰るだけだったのでしょう。ラストシーンでは月の光に照らし出された黄海が映り、虚しさだけが残りそうですが、最後に少しだけほっとさせるシーンが待っていました。

借金返済のため殺人を請け負い、韓国に密入国した朝鮮族の男が、罠に嵌められ追われる身となるクライム・サスペンス。緊迫感漂う映像で、過激な暴力の中にある人間の恐ろしくも哀しい業の深さを描く本作。すでに、ハリウッドでのリメイク権を獲得したんだとか。 注目です。

« それゆけ!アクアくん Vol.6 | トップページ | 2012.03映画鑑賞総括 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/102027/54322603

この記事へのトラックバック一覧です: 「哀しき獣」鑑賞:

« それゆけ!アクアくん Vol.6 | トップページ | 2012.03映画鑑賞総括 »

2015年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ