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2012/11/15

「009 RE:CYBORG」私的映画考Vol.271

先日、「009 RE:CYBORG」を観てきました。神山健治監督作品。声の出演:宮野真守、玉川砂記子、小野大輔、斎藤千和、大川透、丹沢晃之、増岡太郎、吉野裕行、杉山紀彰他。

2013年。世界中の大都市にある超高層ビルが次々と崩壊するという、同時多発爆破事件が発生。いつ、誰の意志で計画されたかもわからない無差別テロは、世界を不安とパニックへと陥れていた。島村ジョーは、過去の記憶を消し、東京でひとり高校生として暮らしていた。ジョーの記憶が呼び覚まされた時、ゼロゼロナンバーサイボーグの新たな戦いが始まる。

言わずと知れた日本SFマンガの金字塔であり、石ノ森章太郎の代表作の一つ「サイボーグ009」。設定を活かしながら、2013年を舞台に「彼の声」に指示を受け、世界を終わらせようとする何者かに立ち向かうサイボーグ戦士たちを描きます。

ベースになったのは未完の「神々の闘い編」。サイボーグ009の完結編となるべく同じく未完となった「天使編」を構想も新たに描きはじめた作品でしたが、結果、未完のままとなった作品です。敵が神々ですから、そりゃあもうスケールはでかい話しなのでしょうが、連載時点では収拾がつかなくなってしまったんでしょう。晩年、構想をまとめ続けていたようで、今年、その構想を息子である小野寺丈が小説にした「2012 009 conclusion GOD'S WAR」がこのほど完結。角川文庫で発売中です。

本編に話しを戻しますが、本作は完結編をベースにはしていますが、全くのオリジナルと言って良い作品でしょう。設定も踏まえてはいますが、様々な部分が変わっています。一番気になったのは「加速装置」のくだり。

009=島村ジョーの唯一無二の武器でもある加速装置。常人の動きを遙かに超えるスピードで動ける装置のことです。マンガ版では加速装置を発動させると、空気との摩擦により、衣服が燃え上がるとなっています。人工皮膚のサイボーグだからこそ、本体には影響はありませんが、衣服は燃え上がり、その下にまとったあの赤い特殊な防護スーツがむき出しになるのです。が、この設定は一切無視されています。

また、抵抗のある地面で加速した場合、効果がありますが、空中のように抵抗が無い場合、加速はできません。本編中に、ビルから加速しながら落下し、003=フランソワーズを助けるシーンがありますが、あれも間違い。落下を速めるのであれば、002=ジェットのように空中での推進力が必須です。

他にも、気になる設定はいくつかありましたが、切りがないのでおいておきます。

印象からするとサイボーグの国際スパイモノという感じです。各国に散らばったサイボーグ戦士たちは情報機関に所属している者も多いです。そこでは、サイボーグ同士過去の遺恨があったり、国同士の腹の探り合いがあったりして、これまでの、チームワークは見られません。そもそも9人のサイボーグ戦士が勢揃いするシーンは1回もないのです。一人一人の能力は小さくても、9人のチームワークで巨悪に挑むと言うのが「サイボーグ009」のテーマの一つだとは思うのですが、何とももったいない。リアルに徹した設定の変更、演出は面白いとは思いますが、原作の本質を損なうというのはいかがなモノか。

今回は3D版を鑑賞しましたが、描き込まれた背景や、人物等の立体感はさすがでした。スカイウォーカーサウンドの効果音も素晴らしいですし、川井憲次のスケールの大きい音楽もさすがでした。本作はフルCGと言うことで、人物もCGで描かれています。多少ぎこちない動きはありますし、表情が不気味に見えることもありますが、様々な工夫により、以前の3Dアニメ作品とは違って、あまり違和感を感じませんでした。

少々難解なストーリーではありますが、これまでの神山健治監督作品である「攻殻機動隊 S.A.C.」「東のエデン」等のファンの方には、お楽しみいただける作品となっています。が、昔からの石ノ森ファンの方には、オススメできない内容と思われます。「サイボーグ009」ではなく、全くの別物として受け止められるのであれば良いですが。

かつて世界が危機に陥るたびに人々を救った9人のサイボーグ戦士たちが再び集結、新たな戦いに臨む姿を描くアニメ大作。全世界同時多発爆破事件の犯人とは?ヒーロー不在の時代、彼らは、誰がために戦うのか?彼らが立ち向かう、新たな時代の「正義」とは?

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