「人生の特等席」私的映画考Vol.272

先日、「人生の特等席」を観てきました。ロバート・ロレンツ監督作品。出演:クリント・イーストウッド (「グラン・トリノ」「ミリオンダラー・ベイビー」)、エイミー・アダムス (「魔法にかけられて」「ナイトミュージアム2」)、ジャスティン・ティンバーレイク (「ステイ・フレンズ」「TIME」)、ジョン・グッドマン、マシュー・リラード、ロバート・パトリック、ジョー・マッシンギル他。
家庭を顧みず、メジャーリーグ・スカウトマンとして生きてきたガス(クリント・イーストウッド)は長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきた。しかし、年のせいで視力が衰えてきていた。スカウトとしては致命的だ。父との間にわだかまりを感じ続けてきた娘のミッキー(エイミー・アダムス)は、弁護士として大事な時期だったが、スカウトの旅に同行することにするのだが・・・。
本作では、「グラン・トリノ」以来、事実上の俳優引退宣言をしていたクリント・イーストウッドが、4年ぶりに主演を務めています。また、監督をせずに演技に専念。弟子とも言えるロバート・ロレンツが監督しています。
冒頭、放尿するシーンがあるのですが、ここが良い。元気のない自分自身に呼びかけるのです。「がんばれ」と。実際しているわけではないのでしょうから、効果音が付けられているのでしょうが、なかなか哀愁のある音になっています。役柄は何歳か分かりませんが、実年齢は80歳を超えていますから、人生の悲哀を演じるのには事欠きません。しわがれた声もますます渋みを出し、顔中のしわも演出だと言わんばかり。この辺りが実に良い。
対する娘のミッキーは、頑固者の父親とは疎遠で、今は弁護士事務所のパートナーになれるかどうかの瀬戸際。30歳を過ぎています。父親の病状を知り、忙しいながらも、スカウトの旅に同行することになります。普段は、ほとんど話しをすることもない二人。話しをすればケンカになる。幼い頃に母親を亡くし、父に捨てられたと思い続けていた過去があったのでした。
そして、若きスカウトマン・ジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)。以前はガスに見いだされたピッチャーでしたが、肩を壊し、レッドソックスのスカウトマンとして活動しています。ガスには恩があり、ミッキーには一目惚れ。ガスとはチームこそ違いますが、同じスカウトマンとして旅に同行しながら、親子と心を通わせていきます。
時に反発しあいながらも旅は続き、終わりにさしかかろうとした時、大きく物語は動きます。妻を亡くし、男手ひとつで育てようとして育てられなかった父娘の、旅の最後にそれぞれが見つけた人生の特等席とはいったい・・・。感動の先には、スカッとさわやかな幕引きが待っています。野球中心の話しではありますが、ルールなんて分からなくても、それ以上のドラマがありますから、問題なく鑑賞できるはずです。
疎遠だった父娘が仕事を通して絆を取り戻していく様子にを描く、感動ドラマ。
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