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2013/04/18

「君と歩く世界」私的映画考Vol.279

先日、「君と歩く世界」を観てきました。ジャック・オーディアール監督作品。出演:マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ 愛の讃歌」「コンテイジョン」)  、マティアス・スクナールツ、アルマン・ヴェルデュール 、セリーヌ・サレット、コリンヌ・マシエロ、ブーリ・ランネール、ジャン=ミシェル・コレイア 他。

南仏アンティーブの観光名所マリンランドのシャチ調教師、ステファニー(マリオン・コティヤール)は、シャチのショーを指揮している最中にステージが崩壊、両足を失う大怪我を負ってしまう。失意のどん底に沈んだステファニーは、ナイトクラブで知り合ったシングルファーザー、アリ(マティアス・スーナーツ)を頼り始める。やがてステファニーは、どこか謎めいていて獣のように野性的なアリとの触れ合いを重ねるうちに、すでに諦めていた生きる喜びを呼び覚まされ、自らの意思で未来へ踏み出す力をつかみ取っていくのだったが・・・。

美しく叙情的な映像で綴られる愛の物語。冒頭の強烈な水のイメージに続き、“足”が印象的に描かれています。走る足、踊る人の足、組み替える足等々。これまで何気なく歩く、走る、事をしていた自分が、ある日突然歩けなくなる日が来るという恐怖感、絶望感。そして、すべての生活が、環境が一変するのです。周囲の見る目も圧倒的に変わります。

そんな時、アリを呼び寄せます。ただの知り合いだったアリ。閉じこもっていたステファニーを見かねたアリは、外へ飛び出します。そして、彼女を海の中へと導いていきます。「泳ごう」と。彼には同情心はなく、もっと普通にできることがあるはずと思ったのかもしれません。水中では自由だと思ったのかもしれません。そしてステファニーは笑顔を取りもどしていくのでした。

アリの息子、サムとの関係も絶妙です。引き取ったばかりの息子と、姉夫婦の家で暮らしていたアリ。初めての子育てをもてあましていました。虐待とは言いませんが、暴力もありました。どこにでもある父と子の関係ではありませんでした。そして、終盤、久しぶりにサムと会ったアリ。休日を楽しく過ごしていましたが、ある事件が発生。恐れを抱いたアリ。距離を置いていたステファニーに懇願します。「見捨てないでくれ」と。良いシーンでした。

恋愛だけではなく、親子の愛や友情も描いていきます。最初は友情だったふたりの関係も、様々な経験を通して、次第に変化を見せていき、愛情へと昇華していく過程が描かれているのです。そして、なにより、人生をやり直すきっかけは何度となくあるのだと、勇気を与えてくれる作品です。主人公の決意が、意志が、心を振るわせてくれることでしょう。

事故で両足を失ったシャチの調教師と彼女の心の支えになろうとする男との関係を描く人間ドラマ。

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