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2014/04/07

森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」

先日、森見登美彦の「ペンギン・ハイウェイ」を読みました。

小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。第31回(2010年) 日本SF大賞受賞作品 。

これまで氏の作品は何冊か読んだことはありましたが、ファンタジックな内容が多い印象を持っています。SF大賞受賞作品と言うことでしたが、本作もファンタジックな内容ではありますが、科学的でもありましたし、フィクションでもありました。なので、やはりSFなんだろうなあと。

ちなみに「日本SF大賞」とは、日本のSFであれば、メディアや芸術のジャンルにかかわらず、受賞の対象となる賞で、小説以外にも漫画、映画、アニメ等が受賞しています。

これまで、「四畳半神話体系」「太陽の塔」「有頂天家族」と京都を舞台にした奇妙奇天烈な物語を読んできましたが、本作は京都が舞台ではなく、郊外の山手にある新興住宅地が舞台です。時代的にも昭和の香りが漂う頃。これまでの著作と比べてみれば、SF設定が存分に入っているし、主人公は少年だし、と言うことで、少しジャンルが違うのかな?という感じはしますが、奇妙奇天烈と言う観点からそれば、同系統の作品である事には違いありません。

ティーンエイジャーを対象にした小説=ジュブナイルのような様相を呈していますが、大人が読むと、ノスタルジックな気分にもさせてくれる作品です。少年時代をあんな風に過ごせたら、毎日が楽しくて仕方がなかったのだろうなあと。懐かしくもあり、せつなくもあり。いじめっ子的なガキ大将やその取り巻き、臆病な友だち、賢いのだけれど勝ち気な女の子・・・。もっとも素敵な存在は、主人公の父親。少年の気持ちをくみ取り、行く道を示してくれる。結論を出すことなく、言い過ぎず、すべてを見守ってくれているという感じ。実に大きな存在です。

主人公アオヤマ少年は小学生。これが実に聡明で勉強熱心。昨日より今日、今日より明日の自分は確実に立派になっていること。これが当面の目標。学んだこと、気づいたこと、発見したことは常にノートに書き留めておく。素晴らしい学習意欲というか向上心に満ちています。そんな彼の住む街で奇妙な出来事が起こり始めます。

まずは、ペンギンの大行進、図鑑に載っていない生物の出現。謎の物体“海”。そして、気になる存在、歯科医のお姉さん。一見、バラバラに発生していた出来事が、集束されていく様は痛快そのもの。終盤、事件は少年少女達の手を離れ、世間を騒がしていきますが、最後は主人公のアオヤマ少年がきっちり落とし前を付けます。

そして、別れの時。少年は一夏の夢のような経験を通して、一歩、大人への階段を上っていくのですが、そこには別れがつきもの。出逢いが人を成長させ、別れが人を強くしてくれるに違いありません。少年の未来は、可能性は、無限に広がっていくのです。感動的なラストシーンに、ちょっぴりウルッと来てしまいました。

SFというと敬遠してしまう方もいらっしゃるのでしょうが、少年少女が経験した一夏の冒険ファンタジーとして、気軽に楽しんでいただくことができると良いかもしれません。ぜひ。オススメの一冊です。

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