「はじまりのうた」私的映画考Vol.301
先日、「はじまりのうた」を観てきました。ジョン・カーニー監督作品。出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レビーン、ジェームズ・コーデン、ヘイリー・スタインフェルド 、モス・デフ、キャサリン・キーナー、エド・レニンガー他。
シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、同じミュージシャンの恋人デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、失意のままライブハウスで歌っていた。そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)はグレタの才能に惚れ、彼女にデビューの話を持ちかける。その録音はニューヨークの街角で行うというものだったが、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始めるのだった。
冒頭は登場人物が出会うまでを、それぞれの目線で追いかけるという繰り返しの映像。グレタは、恋人と別れ失意のどん底。友人のミュージシャン、スティーヴ(ジェームズ・コーデン)に誘われるままライブハウスで歌います。そこへ偶然、どん底のプロデューサー、ダンが居合わせ、物語は動き始めます。
金はないけれどコネはあるダンは、スタジオを借りずにニューヨークの街角で録音しようとします。ここが良かった。コネでミュージシャンを集め、偶然出会った人々を巻き込みながら、次々に録音していきます。セントラルパークやチャイナタウン、橋の下、路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームなど、無許可もありますからまさにゲリラレコーディング。それがまた、グレタの作り、奏でる歌に合うのです。
グレタは、ダンの私生活にも関わっていきます。別居中の彼は問題山積。昼間から酒を飲み、レコード会社に行ってはくだを巻く。娘には嫌われっぱなし。しかし、グレタの歌はその関係さえも浄化していくようでした。
物語終盤にはダンの娘、バイオレット(ヘイリー・スタインフェルド)もレコーディングに参加。ここが実に感動的。何事にも自信がもてなかったバイオレットでしたが、名演を見せてくれるのでした。ここにはダンも演奏に参加していて、シチュエーションも加味して、さらに素晴らしかった。
やがてアルバムが完成したその日、誰も予想できなかった最高のはじまりが待っているのでした。やっぱり音楽って素晴らしい。色々な可能性を見せてくれました。
音楽がつなぐ予想外の出会いと運命を描いた物語。
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